僕の好きな詩について 第十回 まどみちお


詩について好きなことを言うnote、記念すべき第十回は、まどみちおさんの詩です。

「ぞうさん」や「ふしぎなポケット」の作詞もされ、2014年に104歳で天に召されたまどさんの素敵な詩をご覧ください。

―――――――――――
「ぼくが ここに 」まどみちお

ぼくが ここに いるとき
ほかの どんなものも
ぼくに かさなって
ここに いることは できない

もしも ゾウが ここに いるならば
そのゾウだけ
マメが いるならば
その一つぶの マメだけしか
ここに いることは できない

ああ このちきゅうの うえでは
こんなに だいじに
まもられているのだ
どんなものが どんなところに
いるときも
  
その「いること」こそが
なににも まして
すばらしいこと として
―――――――――――――――

漢字の無い平易なスタイルで非常に哲学的なことを言い切っています。そしてそれを優しい答えに結びつけています。子供にも分かる言い方で、こんなに深いことが表現できるなんて、と息を飲まざるを得ません。

まどさんは北原白秋に見出だされて世に出たそうです。谷川俊太郎を認めたのが三好達治であるように、平成まで生きている詩人と明治大正の詩人の関係が連綿として繋がっているのを知ると、文学の歴史の流れのような巨大なものを感じられて感慨深いものがあります。



#詩 #現代詩 #感想文 #まどみちお #ぼくがここに

いつか詩集を出したいと思っています。その資金に充てさせていただきますので、よろしければサポートをお願いいたします。