トラブル・ラッシュ

12月23日
4時頃まで原稿を進め、仮眠をとってすぐ出発の時間になった。
出勤自体は昼からなのだが、いかんせん場所が遠い。
今日の働き場所は立川だった。

同じ東京とは思えない移動距離、普段の比じゃない乗車時間。
『思えば遠くへ来たもんだ』なんて、不意に思ったりしたが、冷静に考えて、去年の今頃はバイトで県外に行くことなんてザラにあった。川口、幕張、ついに新幹線で名古屋、神戸、最終的には飛行機に乗って熊本と秋田にも行ったっけ(秋田に関しては泊まりだった)。
それも今では中央特快に乗っただけで『遠く』に感じる。感覚が狂ってしまったのか、はたまた正常に戻ったのか。

今日はホテルで企業の忘年会の料理を出す、サービススタッフの役目。
今回は大皿料理を机に置くだけなので、だいぶ楽である。
こういう場合、1人が1テーブルを担当するのだが、私は外国人労働者の集まる卓の担当になった。と言っても皆日本語は流暢だし、優しい。オーダー数やパンのお代わりが多いだけで、後は全然問題ない。そう思っていたのだが、事件はデザートを出すタイミングで起こってしまった。
『すみません、デザート2つ足りてないです』
お客様からそう言われて私は慌てた。確実にテーブルの人数分カウントしてから持ってきたはずなのだ。チーフに確認しても、私の出し方に誤りはなかったと言う。では何故……?
ひとまずお客座に謝ってデザートを追加でお出しした後、「もちづきさん」と他のバイトの女の子に声をかけられた。数刻前、休憩所で一緒になった大学生の女の子だ。
彼女に手招きされ、バックヤードに引っ込むと
「先ほどのお客様、もちづきさんの見てない時にスペイン語で『デザートもっと貰っちゃおうぜ』的なこと言ってました。だから、もちづきさん間違ってないです。チーフにも伝えてあるので安心してください。」
と微笑んでくれた。
「ええ?!私、カモられてたんですか?!ていうかよくスペイン語わかりましたね……なんか全部ひっくるめてすごいです……」
私は嘘偽りのない感想を語彙力0で伝えた。

その後、8枚くらい一気に皿を割ったりと、もっと掘り下げるべきハプニングもあったが、まじで『皿を割ってしまった』という事象しか感想がなかったので割愛する(強いて言うなら、皿が地面へ急降下しているあの時間、スローモーションのように感じたし、脳内ではかりゆし58の『さよなら』が流れていた)。

色々あったが無事バイトが終わり、私は新宿へ向かった。
新年のライブでお世話になる芸人さんと打ち合わせ兼映画鑑賞をすることにしたのだ。
映画は観たかった『シュガー・ラッシュ:オンライン』だ。前作は観ていなかったのだが、芸人さんが始まる前に分かりやすく教えてくれたので問題なく楽しめた。
何なら楽しみすぎたくらいだ!何だあれ!最高に面白いじゃないか!
楽しい時間を過ごし、来年のライブの話もしてより楽しみが増えたひと時だった。

あ、有馬記念に参加できなかったことだけが心残り……。

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