動かします?
※ネタです。
「フンッ・・・んー・・・フッ・・・。」
「あの、お客様。動かしましょうか?」
「え?いいんですか?」
「ええ。とりやすい位置に移動出来ますが・・・どうされます?」
「じゃあ、お願いしちゃおうかな。さっきから何回もやってるんですけど、とれなくてぇ。」
「見てました。あれ位やられていたのであれば、移動しても問題ないので。中にはね、そんなに回数やられてないのに動かして下さいと仰るお客様もいらっしゃるんですけどね。」
「そうなんですね。やっぱりあの・・・僕はこの店の従業員ではないので分からないですけど・・・やっぱりね、ある程度の回数はね?やらないと。」
「ですね。では動かしますね。」
「お願いします。・・・一回でとられる方っていらっしゃるんですか?」
「いますね。うちのは結構アームが固いので、正攻法以外ではとりにくんですけど。いますね。ちゃんと正攻法でとる方は。」
「へぇ。・・・コツってあるんですか?」
「無いですね。完全にその人依存です。」
「そっか。まぁそうですよね。」
「はい。・・・はい。移動完了しました。」
「ありがとうございます。これだけ低ければとれそうです。」
「そうですよね。商品をかけておくフックが天井付近にありますからね。手が届く方はあまりいないんですよ。」
「高かったですね。あの位置は。フックのアーム部分も固いんで、壁を叩いても商品が落ちてこないですからね。・・・よっ・・・上背がね、あれば・・・ひょいと、とれるんですけど・・・ね。」
「ですね。人依存ですね。2m位あればいけるんですけどね。」
「・・・とれました。会計お願いします。」
「はい。では・・・。」
「やりにくそうですね。」
「ええ。天井に埋め込まれてますからね。レジが。毎回、従業員用の脚立を引っ張り出してレジ打ちしなきゃいけなくて。大変ですよ。結構。」
「首痛めそうですね。上ばかり見てるから。・・・あの、どうして店内のレジやら商品やらが天井かその付近にあるんですか?」
「目の位置かそれより下に何もないと、店内がすっきり見えるじゃないですか?だから、必要なものは全て天井に埋め込んで、商品は2m位の方が手を伸ばしてようやく届く位置に陳列してるらしいです。うちの店長。」
「そっか。確かにすっきり見えますね。」
「そうでしょう?ただね、外から見ると店内に何も無い様に見えるんで、営業してないと思われて、よくお客様をとりこぼしちゃうんですよね。」
「・・・店長さんってゲームセンターとかで、ヌイグルミとかとるの苦手そうですね。」
「よく分かりましたね。そうらしいですよ。」
「やっぱりそうですか。手にとるように分かるなぁ・・・。」
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。