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朝のピクニック

息子が2歳半を過ぎ、思い出したことがある。
まもなく5歳になるむすめが、同じくらいの頃のお話。

初めて「行きたくないの」と泣いた日

食べることが大好きで
毎食はりきっておかわりするのに、
朝ごはんを全く食べ進まず
箸を置いてシクシクし始めて
おなかいたいの?と聞けばブンブン。

「保育園に行きたくないの」

行きなさい!も、行かなくていいよ!もまだ言えない。
なんで行きたくないのか、聞いてみなくては。

「お外で朝ごはんしよっか!
美味しいパン買って、公園でピクニックしよう!」

なんとなく気分が変わったのか、
ニコニコして支度を始める。

途中でパン屋さんに寄って、小さなパンを3つ買った。甘いの、ウインナ入ってるの、何も入ってないの。
保育園近くの公園で朝ごはん。
おしゃべりなむすめの口数はとても少なかったけれど、2人で3つのパンをわけわけして、全部食べた。

なんで、に彼女が答えることはなかった。

食べ終わって保育園に向かう足取りは重く、入口の外まで迎えに来てくれた先生と、手を繋いで涙しながら入っていった。

予感はあった

この頃、頻繁に目をパチパチしていた。チック症状と呼ばれるものだ。

チックは幼児期から小学生の年齢の子供に多く、
まばたきをする、首をかしげる、肩を上げる、顔をしかめるなどの動作をごく短時間にくり返す運動チックと、
「あっ」などと声を出す音声チックがあります。
チックは種類・部位・強さ・頻度などがしばしば変動します。いわゆる「クセ」の一つとも考えられますが、どの場合も本人が意識して動かしているのではなく、子供の意志で止めることはできません。
東京都こども医療ガイドより抜粋)

いろいろなストレスや不安などが子供の心の中にあり、葛藤(かっとう)の結果として表出すると考えられているが、多くの場合、直接の原因ははっきりしない。性格的には、いろいろなことを気にしやすく、感じやすい子供の方が起こしやすい傾向があり、中枢神経系のドーパミン過剰状態の関与も指摘されているとか。

弟が産まれた前後にもそうなっていたので、その症状に気持ちを集中してしまわないように、症状を指摘することもなく、そして、なるべく親たちが「弟ばっかり」ってならないように、保育園の園長先生とも連携して、いつも以上に気をつけていたつもりだった。

保育園という「社会」を経験する

小さな保育園で、クラスは6、7人。
先生たちの目が行き届かないこともない(わたしはとても信頼を置いている)

保育園という場所は、例えば誰かが手をあげて小さな怪我をしたとしても、○○くんが、○○ちゃんが、という特定はしない。(我が子が誰かにそうしていなければいいなと思うが)

園長先生もとても言葉を選んで話してくださった。

保育園時期は同じクラスでも月齢差が大きかったりもするが、徐々に自我が育ち始めている娘のクラスでは、女の子たちの「勢力図」が少し変わってきていること。
1年の前半(4〜5月)生まれであったり、上にお兄ちゃんが2人の末っ子だったりで、口が立つとか、手が出る子も結構多いこと。

とはいえ、いじめのようなものがあるわけではない。

娘は長女で3月生まれ。加えて、これは個性だけれど、コミュニケーションの入口にとても慎重。だからこそ、文字通りその勢いに飲まれてしまったり、遊びの場面でちょっと置いていかれたりすることがあったのだろう。

家では1歳間近で「目が離せない」弟がいて、彼女は当然弟よりもなんでもできるし、得意なこともたくさんある。でも、保育園ではそうもいかない。

先日読んだ「#学校ってなんだろう」という本にも通ずるものがあるけれど、保育園はひとつの「社会」で、これを経験しておくことは、いいことだ、とは言えないけど、この先生きていくうえでとても大切なことのような気がしている。得るものもあるし、得られないものもある。だけど、家庭だけでは作れない環境や体験がある。

”energy of class”

あれから、2年。
先日お迎えに行ったら、常駐しているネイティブの英語のJ先生にたまたまお会いした。

英語大好きむすめは、クラスをとても楽しんでいる。

クラスで他の子が答えられなかった質問も、
彼女に振ると必ず答えてくれるの!
She is energy of class !

と(英語なので多分ですが)言ってくださった。

楽しめているならありがたいこと。
色々経験しながら、大きくなあれ。

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