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パワフルな問いの力で時空を旅した

転職面接で問われた質問で、20年も前の出来事を鮮明に思い出すとは。あの人は、どうしているだろう。

面接ならよくあるはずの質問だった。

「なぜ、今の会社に入ろうと思ったのですか」

なぜか、不意打ちされた気がした

過去を思い出すのに少し時間がかかった。理由は二つ。

「なぜ、今の会社を出ようと思ったのですか」
「うちで、何をしたいと思っていますか」

という現在と未来を問う質問の方が圧倒的に多かったのであまり考えていなかったから。

加えて、15年以上同じ会社に所属していたので、遠い昔のことで振り返るスパンとして長すぎたから。

今回の面接は、時間軸を過去・現在・未来と何度も行き来させながら思考の振り幅を広げてくれる場になった。

ここで働くことになるかはわからないが、自分にとってとてもパワフルな場になった。仕事では人の話を聴く局面が多いので、こんなふうに聴きたい、と思いながら、面接を受けていた。

でも実は、何か思い出せないなと引っかかっていた。この問いは面接の50分間ずっと頭の中でループしていた。

このループの話は最後にして、転職面接での「時空の動かし方」について感じたことを書いてみる。

①過去を問う

わたしはなぜここにいるのか?を考えるとき、過去の選択とその理由は、大きなヒントになる。

今回の転職において、20年も前のことは聞かれないだろうし言う必要がないだろうと思っていた。

わたしの職歴は、新卒A社2年、転職B社1年、2回目転職C社17年(現職)かつABCは業種と職種が全て異なる。

長く勤める現職C社になぜ入ったか?を問うことは、わたしの価値観(なぜここにいるのか)を問うのに必然だな、と質問されながら気づく。

現在地から振り返ると、過去の選択と理由には、思い出したくない、恥ずかしいこともある。でも相手は全て包み隠さず言うこと、を求めているわけではない。

だからこそ、自分でファクトを振り返り、言語化して、グッと凝縮する、までを定期的にやっておくのが大事。下準備なしだと、全て言おうとして話が拡散したり、隠そうとして分脈が繋がらなくなったりするから。

②現在を問う

転職面接では、わたしは何者なのか?は必ず出る質問。単にスキルや経験だけでなく在り方も問われている。

「なぜ、今の会社を出ようと思ったのか」という問いにネガティブな回答をしない方がいいか?というとそんなことはない。この場所じゃない、と思うときには、なんらかのネガ要因はある。ただ、

○○が、××ないから。

だけでは、so what?(だから何?)と突っ込まれる。ここで大事なのは、なぜ○○が××であることに拘るか、そこに、在り方の基盤となる価値観がある。

スキルや経験を問われる時も同じだ。

○○ができます
○○をやってきました
(役職)をやってました

so what?だから、それであなたは何者なのか。どう在りたいか、どう過ごしてきたのか。それはなぜか。個別の体験を昇華して汎用化し、転用する。どっかの本で読んだ内容と同じだなぁ。

③未来を問う

わたしはどこへ行きたいか。面接の場なら、ここで何したい?の話。これは、何度か話していて思ったのだけど、例えば、いま人事をやっているとして、だから、人事をやりたいです、というのではだめだ。

考える場がなければ、考えない

過去現在未来は繋がっていて、しかも自分がやってきた感じてきたことだから喋れるかというと、全くそんなことはない。考えようとしなければ考えない。考えるタイミングや自分の置かれた場面によって、過去や現在の意味合いは変わるし、未来もそれによって変わる。

おまけ:終わってから思い出したひとつのこと

面接で、言わなかったことがある。ぐるぐるループしていたことを、翌日急に思い出した。今の会社に入るタイミングでの、自分のプライベートな出来事。まあ、言う必要はないのだけど、当時の転職へのモチベーションを左右したのは間違いない。

わたしは、ある決意をしていた。有期雇用だったこともあり、ここを出るタイミングで、当時とても大切に想っていた人と、一緒に事業を立ち上げようと本気で思っていた。人が集まる場を作りたいというのが私たちの共通の想いだった。

その後わたしは雇用形態が変わり、決めていた期日で辞めることはしなかったし、二人とも別の人と結婚して別々に生きているのだけど、あの時思っていたことを、それぞれの持ち場でやっているなぁと思った。

ま、それだけなんですが。人生を左右するかもしれない転職面接で、大事な過去にタイムトラベリングさせてくれたこと、有り難い。奇しくも今日はその人の誕生日。縁は奇なもの。ハッピーバースデイ。

(※トップ画像は、テレスコープマガジン様よりタイムマシンを拝借いたしました)



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