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シビックテックをもっと知りたい人にお勧めする海外動画7選

この記事は、Civictech1年目 Advent Calendar 2020 の 4 日目の記事です。私自身は1年目というわけでは全然ないのですが、カレンダーが空いているのはもったいないので、ちょっと趣向を変えて、最近シビックテックを知ったという人向けの記事を書いてみます。

2017年に、「シビックテックを知りたい人にお勧めなTEDトーク7選」という記事を書きました。英語の勉強がてら、海外のTEDトークでも見てみませんか?という記事でしたが、それの続きです。

ちなみに、以前の記事で紹介した動画は、今見ても面白いので、良かったらぜひご覧ください。(ちなみに、TEDict は英語学習におすすめです!)

では、さっそく紹介していきましょう。

How digital innovation can fight pandemics and strengthen democracy | Audrey Tang

まずは、今年世界中でとっても有名になった、台湾のデジタル担当大臣、オードリー・タンさんです。日本語でも聞けるインタビューもたくさんありますが、結構まとまったボリュームでデジタルイノベーションについて語っていますのでぜひ。日本語の訳もありますので、英語の勉強にもちょうどよいのではないかと思います。彼女の解説は、本当にロジカルでわかりやすいですね。ちなみに、今年の Code for Japan Summit のキーノートスピーチでも登壇いただきました。その動画も↓で見れます。

It's our city, let's fix it | Alessandra Orofino

リオデジャネイロのアクティビスト、Alessandra Orofino が、コミュニティアクショングループであるMeu Rioの活動を紹介しています。世界の人口の54%が都市で暮らし、発展途上国では都市人口の3分の1が スラム街で暮らしています。そして、世界のエネルギーの75%が消費され、地球温暖化の原因となるガスが80%排出されているのが都市部です。気候変動やエネルギー危機、貧困といったものは、いろいろな意味で都市問題なのです。私たちのような都市に暮らす住民が 実際 行動を起こさない限り、そういった問題は 解決しないにもかかわらず、都市に住む私たちはあまり行動していません。
* 住民がすすんで民主的システムに関与しているか
* すべての住民が便益を享受しているか
* 人々が満ち足りた幸福な生活を送っているか
という問いが発せられていますが、都市の政策決定への参画のあり方が私達の未来を形付ける、ということをブラジルのコミュニティから学ぶことができます。

In fact, governments have not been very good at using technology to enable participation on what matters — the way we allocate our budget, the way we occupy our land, and the way we manage our natural resources. Those are the kinds of decisions that can actually impact global problems that manifest themselves in our cities.
(実際、政府はテクノロジーを使って、予算の配分方法、土地の占有方法、天然資源の管理方法など、重要なことに参加できるようにすることがあまり得意ではありませんでした。これらの決定は、私たちの都市に顕在化している地球規模の問題に実際に影響を与える可能性があります。)

市民がまちづくりに参加する、「DIY都市」を推進する私としても、大変勇気づけられました。

Why mayors should rule the world | Benjamin Barber

2013年と少々古いトークですが、デジタル庁やスマートシティといったことが注目されている今こそ、改めて聞いていただきたいお話です。

ベンジャミン・バーバー氏は2017年に亡くなったアメリカの政治学者ですが、1984年に出版したストロング・デモクラシー(邦訳版)で代議制による民主政治を痛烈に批判し、熟議による市民参加型の民主主義を提唱した人物です。そんな彼が、「なぜ市長が政府を治めるべきか」というタイトルで、都市を起点にした世界の協調について語っています。

グローバルな民主主義への道は国家にはありません。都市にあります。民主主義は古代ポリスで生まれました。ポリスからコスモポリスになる過程で グローバルなレベルでの民主主義の力を再発見することでしょう。我々は失敗した国際連盟ではなく都市連盟を、国際連合いや国際不連合ではなく 都市の世界連合を作ることが出来ます。市長による世界議会を作ればいい。(中略)市長の議会は市民の議会だから そして市民の議会は私たちの、私とあなたの議会だからです。

日本には多様な地域性があります。政府が全てを決定するのではなく、それぞれの地域でボトムアップで様々なまちづくりが行われ、それぞれの地域の歴史や生き方に基づいた、多様性のある暮らしが営まれることが重要です。地域の人たちが考える幸せについて語られ、それぞれの町の意思決定に住民が参加しながら、あるべき姿を実現していくことこそが、シビックテックが目指す姿だと感じます。

You don't have to be an expert to solve big issues | Tapiwa Chiwewe

ヨハネスブルグで働くAIリサーチャーが、大気汚染に侵されつつあるヨハネスブルグの美しい街並みを取り戻したいという思いで始めたプロジェクトについて語っています。

皆さんが世界のどこにいようと 今度 自分の中に 自然な好奇心が湧いてきたら そして それが自分の気になることで さらに 突飛で大胆な アイデアがあるなら それが自分の専門外であっても 自問してみましょう なぜやらないのか (Why not)? 
Why not just go ahead and tackle the problem as best as you can, in your own way? You may be pleasantly surprised.
(自分なりの方法で、問題に精一杯取り組んでみてはいかがでしょうか?心地よい驚きを得られるかもしれません。)

Why not? というのは、私が Code for America のキャサリン・ブレイシーさんに「Code for Japan を始めたいのだけど」という相談をした時に言われ、とても勇気をもらった言葉でもあります。グッと来ました!

Civic Innovation: A Future For Cities & Technology | Matthew Claudel

テクノロジーを使って都市を改善するにはどうすればいいのか?スタートアップ型のスピード感のあるデジタル化に、政府はどのように向き合うべきか?市民が本当に必要なものを作るにはどうしたら良いのか? MITのプロジェクト、DesignX と、Boston Beta Blocksという2つの新しい市民イノベーションが紹介されています。

Community Mission Statement, Matching Technology, Public experiment, Data feedback, Design feedback を重視して、市民、スタートアップ、政府の協働を推進する実験を行っています。 

The 5 P's of Civic Tech

米国内で最もシビックテックが盛り上がっている都市の一つ、シカゴにおけるコミュニティイベント Chi Hacknight でのプレゼンテーション。5P's of Civic Tech というフレームワークを通じて、地域でのシビックテックのあり方について解説しています。

コミュニティへのオンボーディングがどんな感じなのかや、Brigade の雰囲気も感じれるので、地域でコミュニティをやっている人は参考になると思います。

ちなみに、私は信頼を築くための4P(People, Prototype, Promote, Project)というフレームワークを提唱していますので、そのうち記事で書こうと思います。

You Don't Have to Be a Techie to Do Civic Tech

2019年の Code for America Summit でのセッション。技術者以外もシビックテックの活動は重要なんだよ!という話。Code for America とともに活動する各地の Local Code for (Brigade) で、技術者でない人たちがどのように活動しているかを説明しています。

前述の You don't have to be an expert to solve big issues は技術者の話ですが、こちらは非技術者でも大丈夫だよ!という話です。

シビックテックが取り組む問題は、市場の原理でも、公助でも解決できないような分野の課題であることがしばしばあります。そのような問題は、そもそも一人の力で解決することなどできるわけがありません。また、特定のスキルだけで解決するようなものでもないのです。複雑で大きな課題だからこそ、多様な能力を持ったチームで解決する必要があります。

そういった意味で、「シビックテックに貢献できない」人などいないのです。

以上、様々な視点からの動画7選を紹介しました。興味を持った方は、ぜひ以下の記事もご参照ください。

シビックテックアドベントカレンダーには、いろんな人のいろんな想いが詰まっていますので、他の記事もぜひ目を通していただければ幸いです。

活動している人は、ぜひ空いている日付に記事を投稿ください!


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