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在宅勤務にこだわる人たちとソーシャルキャピタル

在宅勤務が徐々に解除されつつある会社も多いと思いますが、ここにきて在宅勤務の方が絶対良かった!もう戻りたくない!という人たちが出てきました。もちろん家族や健康の事情があって戻り難い…という人は理解できますが、そうではないのにやたらこだわる人がいるのです。

自分も確かに在宅勤務は良い面もたくさんあると今回改めて思いました。仕事時間も柔軟に決められて何より家族と時間を合わせられますし、外部や海外との会議もより柔軟に設定できます(若干ワーカホリックが促進されることは否めませんが…)。

ただ、それと同時にやはり同じ空間で仕事をすることで得られるちょっとしたでも重要な情報やそこで築かれる関係性やチームワークの構築・維持はまだまだ現在のテレワークだけでは難しいのではないかと感じています。なかなか定量化するのも証明するのも難しいのですが…。

正解のない議論だとは思いますが、在宅勤務にこだわる人たちを見ていると、2つのタイプがいることに気づきました。

1. 高い専門スキルに頼ってやってきた人たち

ある専門分野でそれなりに高いスキルを持って成果を出しているので、コミュニケーションとか仕事の進め方は若干難があっても評価もそれなりに高く認められてきた人、いないでしょうか。「あいつ仕事の進め方(もしくは性格は)はちょっとあれなんだけど、結果残すからなあ」的なタイプです。外資系では特に多い気がします。

そういう人はどちらかというと自分の高い専門スキルで認められてきたと思っているので、コミュニケーションとかチームワーク、人間関係がどうなろうがあまり気にならないのかもしれません。むしろそういうことに時間を費やすのは効率が良くないと思う人もいるようです。

ただ、その人たちも結局組織の中で仕事をしていた以上、その組織なりのチームワークや関係性に依存する部分もあったでしょうし、もしかしたらその人たちのコミュニケーションや仕事の進め方をそっとフォローしてきた人たちがそばにいてくれたかもしれません。その環境が今までと変わった時に何が起こるのかは未知数です。

2. そもそもコミュニケーションに難があり成果も出せていない人たち

こういう人は元々コミュニケーションが下手という気持ちが強すぎたり、プライドが高すぎるが故に人とうまく協業できなかったり、衝突を避けようとしすぎるがゆえに引きこもりになってしまったりする傾向があります。このタイプの典型的な問題としては、自分ひとりで頑張ろうとして有用なインプットも得られずまた一人で違う方向へ行ってしまったりと、残念ながら努力のわりに成果も出せないところです。

そもそもコミュニケーションを避けたがる上に必ずしも評価も高くないため、そういう現実と直面せずにひとりで仕事に打ち込むことが快適で、在宅勤務に執着するようです。

ただし、タイプ1.と違うのはそもそも成果を出せていないのでこのコロナ下の経済状況では厳しい状況に陥る可能性が高いということです。今までは業務以外のちょっとした雑談などで人となりや真面目さをわかってもらえて「ちょっとコミュニケーション下手だし切れ者ってわけでもないけど、いい人だし真面目に頑張ってはいるから何とかサポートしてあげよう」と手加減してもらえていたかも知れないのですが…。


さて、こう見てみるとどちらのタイプも仕事を進めるにあたって人間関係やそこから生まれる円滑なコミュニケーション、大げさにいうと組織のソーシャルキャピタルに重きを置いていないというのが共通点ではないでしょうか。

以前からテレワークに注力していた会社では「一緒に働いていることを常に感じられる雰囲気」を実現するためのシステムやルールも整備されているようですが、今回初めて本格的にテレワークを導入したような会社では「一緒に働く一体感」や「ちょっとした雑談やコミュニケーション」は格段に減ったはずです。そうなると、そういう場から生まれ、維持されてきた関係性を今まで同様に保つことはだんだん難しくなってくるかもしれません。

ただ、こう書くのは少し勇気がいりますが、新しい時代が来たとしても人間同士が働く限りは人間関係の重要性は変わらないと自分は思っています。新しいテクノロジーなのかその使い方なのか、テレワークだとしても何らかの関係性を醸成する新しい方法を見つけていく必要がありそうですし、ソーシャルキャピタルの在り方も変わって行くのかもしれません。

まだ考えたがまとまりきっていないまま書いてしまいましたが、この新しい働き方については引き続き考えて、書いていきたいと思っています。


最後まで読んでくださったみなさま、ありがとうございます。これをご縁にどうぞよろしくお願いします。

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