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999匹目までは

【前書き】
第二回目の更新。
今回は主に関しての内容だ。
山怪になるのだろうか。
私の父から昔聞いた不思議な話だ。
父も祖父から聞いたようで(私からしたら曾祖父だ。)真相は定かではないが、色々な話や神の話を見るとあながち嘘ではないかもしれと思っている。

【本編】
私は島生まれ、島育ちだ。
その為か、度々不思議な体験もした。
不思議な体験を直接聞いたりもした。
その中の一つ、猪にまつわる話だ。

私の曽祖父はとんでもない山奥に住んでいた。
舗装はされておらず、道は軽自動車一台分の幅。
四駆でも入るのをためらうほどだ。
天気の悪い日に走ろうものならスタックしてしまうのではないかというほどの山奥だ。

そんな山奥の為、水道はおろか電気も来ていない。
水は山の川からパイプを引き炊事場で使えるように施工し電気は毎日小型の発電機を使用し発電していた。
私の幼少期でそのような生活だが、曽祖父が若いときはもっと不便な生活を送っていたようだ。
狩猟も行っており、度々とってきた獲物を食卓に出すこともあったようだ。
獲物は鳩や猪。
そんな獲物に関して云われがあり、その内容が
「1000匹目は持って帰ってはいけない。」
というものだ。

いつものように猪をしとめた曽祖父。
言い伝えはしっかりと認識していたが、せっかく仕留めた獲物。
置いて帰るのは勿体ない。
持ち帰ろうと獲物に近づく。
ふと視線を感じた。
少し離れたところから白い猪がこちらの様子を見ている。
さすがにたまたまだろうと考え獲物を持ち帰ろうとした曽祖父に対して、白い猪が突進してきたのだ。
結局、白い猪に追い払われる形となり、仕留めた獲物は持ち帰れなかったようだ。

それから度々
「猪の1000匹は持ち帰っちゃいかん。主が表れて襲われる。しっかりと置いて来いよ。」
という話を度々聞かせていたようだ。

【考察】
白い生き物は神使として扱われることがある。
白い蛇がいい例だろうか。
そんな白い変わった生き物に関する話だった。
釣りなどでも似たような表し方をしたりすると思うが、その場所に根付いていたり長年生きており巨大化している生物をその場所の
「主」
と表し、通う人の共通認識になっているようなことはないだろうか。
今回は巨大化どころか、白色とかなり特殊なケースだ。
「1000匹目は置いて帰る」
という観点から、主や山の神様への供え物のようなものではないのかと考えている。

昔から似たような事例がないか調べたりしているが、未だにそのような話は見かけたことがない。

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