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フリーランス7年を経て法人を設立したワケ

私は2019年、フリーランス生活7年を経て法人であるPR会社・STORIES(ストーリーズ)株式会社を設立しました。フリーランスとして7年間、お客様との仕事をさせて頂いている中で、法人じゃないと取引できないと言われたことも、特に困ったこともありませんでした。ではなぜ法人化したのか、その理由を綴ってみます。

最初から法人化を目指していたのか

まず、最初から法人化を目指していたのかということについて。確かにずっと、法人にすることとフリーランスは何が違うのかについて考え、「フリーランス 法人化 メリット」と検索したことは何度もあります。でも大抵書いてあることと言えば、「信用力が増す」「1000万くらい売り上げが上がったら税的な面でメリットがある」くらいしか書かれていません。私は、前述したようにフリーランスでの7年の間、法人じゃないとお付き合いできないとは一度も言われたことはありませんでした。だからこそ、「今、私が法人化すべき理由」としてはどれもピンと来なかったんです。だからこそ、7年間フリーランスを継続してきたのだと思います。

フリーランスとして働きたい人だったのかどうか

そもそも、私はフリーランスとして働きたい人だったのかということも考えてみます。7年もフリーランスとして働いてきたのだから、もともとフリーランスがあっているのでは?とか、フリーランスとして働きたかったのでは?と思われる方もいると思います。確かに割と器用なところがあって、専門業務以外のこと(例えば経理とかそういうの)もある程度やってこれたし(いいツールがあるという時代的な側面も大いにあり)、もともとPR会社でお客様と接していたため、お客様とのやり取りに慣れているという側面もあるかもしれません。でも、私がフリーランスになった理由は、「子育てと仕事を両立する上で、その形がベストだったから」に過ぎません。おそらく、子どもを産んでいなければ、私は会社の中で働くことにずっと喜びを覚えるタイプだったと思います。チームで働くこと、この人のこの部分の強みを活かせるようにどうすればいいのかを考えることが好きだったのです。だからこそ、PRの仕事だけではなく、マネージメントとして人の強みを活かすことをしていきたいという気持ちは、ずーっとありました。

「個」のサステナブルな働き方から「公」のサステナブルな働き方へ

「法人化すること」はずっと頭にあり、近しい人には「平成最後か令和最初に法人化しようと思う」と話していました。でも、その言葉は、「法人化」という言葉で自分を奮い立たせようというものだったように思います。実際、freeeの法人設立の機能を使って法人化したのですが、入力を初めてから1年ほどは、法人名も印鑑も用意していたにも関わらず、途中で止まったままの状態でした。「忙しい」という言葉にかまけて止めていたのは、自分の中で確固たる自信や「今だ」と思える何かが足りていなかったからだと思います。

ずっと止まっていた入力を、再度開始しようと思ったのは、お客様に恵まれて売り上げが上がってきたことで、「売上=個人収入」の世界ではなく、「売上を社会に還元する」というフェーズに行きたいと思ったからです。私は、お金があると消費という名で社会に還元したくなる人です。でも、そろそろ消費だけの還元はやめようとある時ふと思いました。

フリーランスになったのは、私自身が働き続けるためのソリューションでした。でもフリーランスは誰もが最初から軌道に乗るものでもないのではないと、今でも思っています。でも、私が媒介となって、最初のステップを一緒にできれば、働きたい人が働ける世界へ繋ぐお手伝いができるかもしれない。「個のサステナブルな働き方から公のサステナブルな働き方へ」変化していきたいと思いました。

また、私はかつて、日本で大手と言われるPR会社に属していました。PR会社は女性が非常に多い業界で、同期の男女比も7:3くらいで女性が多かったのです。でも、一緒に働いたことのある先輩・同期・後輩などを見てみると、会社を作って独立している人は多くいますが、男性がほとんどで、子どもがいて働き続けている人は多くありません。今、私は働き続けることができているからこそ、女性の代表として、会社を生み出していきたいと思いました。ここで言う、「女性の代表として」というのは、私が勝手に思っているに過ぎません(笑)。

PRが得意な人・会社だけではない、そこに私たちがいる価値がある

私自身はPRの仕事をもう20年ほど続けています。(2000年に社会人になり、メディアの仕事を1年、その後はずっとPR・広報に携わっている)。きっと、PRが天職なんだろうなあと周りからは思われていると思うのですが、自分自身ではそう思ったことはありません。最初、PR会社に入った時は「なんでも大げさに話す人たちだなあ」と思ったし(笑)、私以上にPR資質を持つ人はたくさんいると思っています。世の中には、社長自身がPR資質を持ち合わせている会社も多くあります。コンテンツにするのも、ストーリーにするのも、タイミングもすごくうまい人がいる。でも、そういう人ばかりではないのが世の中の面白さです。まだ社会の機が熟していないけど、先を見越して淡々と準備をしている会社・人。先を見越し過ぎていて、かみ砕かないと他の人がついていけない人。「僕は・私は前に出なくてもいいんです」と謙遜する恥ずかしがり屋タイプの人。これからの社会に必ず必要とされるけれども、注目されるには社会の空気や流れを変えることが必要な会社。そういう人たちに淡々と自分の仕事に注力してもらい、社会と会社のつなぎ目を見出し、流れを作り、伝えていく。PRや広報の力は、今後の社会にもっと必要だと思っているし、同様に広報パーソンも社会にもっと必要だと思っています。私個人の力だけではなく、もっと大きな力で会社と人を後押ししていきたいと思ったのがもう一つの理由です。

また、非常にプライベートな話にはなりますが、2019年・令和元年のタイミングで法人化した理由は、同年の5月に亡くなった父の存在でした。父は2年弱、ガン闘病をしていたので、ある程度まとまったお金が必要になる時が来るかもしれないと思っていました。その父が他界し、葬儀なども終わり落ち着いた時、手元のお金を法人化のために使おうと思ったんです。小学生の頃、父は「会社を作ろうかな」と何度か口にしていました。本当にそう思っていたのか、夢なのかはわからなかったけれど、きっと法人を作ることを父も後押しをしてくれているような気がしたのです。

法人化して変わったこと

法人化して変わったことはいろいろありますが、最も大きいのは、私の気持ちです。STORIESは私が設立した会社であっても、私のものではないと大きく感じているのです。人のように扱う「法人」という名前の意味をようやくきちんと理解できたのかもしれません。最初の子どもを産んだ時に感じた「この子は私の子ではあるけど、私のものではなく、一時期私の元にやってきた世の中から預かっている子」みたいな感覚が近い気がします。STORIESという会社を世の中の中でどう役立たせるか・・・、STORIESに関わってくれる人に責任を持って当たり前の報酬をお渡しできるようにということを常に考えています。

また社会と会社の仕組みがより考えるようになりました。人生の中で経理にきちんと携わったことがないので、社会保険料とは、給料から引かれるものであり、請求書が来て払うものという認識程度でした。だから、法人登記しいて「7日以内に社会保険に加入を」という注意書きを見て、「とりあえず申し込みに行かないと」と思い、社会保険事務所に行ったのですが、窓口で「給料支払い開始してます?開始してないと入れませんよ」と言われたことも。会社の代表は給与が一年間変更できないというのも、設立して初めて知った事実です。1年間、ずっと同じ給与を支払えるかと考えると、報酬をどの程度にするか・・・という事実にはかなりドキドキします。一度経験して、「こうすればよかったな」と思うことは多々あるので、これについては追って書いていきたいと思います。合わせて、フリーランス時代は3ヶ月スケジュールも提出が必要で、すごく大変だった保育園&学童の申請が、印鑑を押した一枚の紙のみで済み、すごく楽だったことも付け足しておきます。(こちらは自治体によって違うようです)

でもでも、それでも比にならないくらい他の申請事項は多いです。(銀行とか、税金関連とか)

法人設立は誰にでもできる

法人設立は資本金と登記費用さえ用意すれば誰でもできます。私も、ただ会社を設立したに過ぎず、全てはこれからだなと思っています。法人設立のタイミングは人それぞれだと思いますが、私としては「自分という個を超えて、社会に提供したいものができた時」にするといいのではと思っています。私自身もSTORIESも、これからがスタートライン。社会に必要な、皆に知られるべき会社のお手伝いを今後も精一杯していきたいと思っています。






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