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こんにちは、赤ちゃん。

今回の旅が終わりを迎えようとしています。

これまで幾度となく旅をしてきましたが、今回ほど人の優しさに触れた旅はありませんでした。

ひと月ほど前に父を亡くし、インドとネパールへ旅に出ました。
僕はひとりになりたかった。

でも、誰も僕をひとりにしてはくれませんでした。
そして、彼らは僕に優しさについて教えてくれたのです。

人生において最大の悲しみの中にいた僕は、同時に人生において最大級の優しさの中にもいたのでした。

「大切な人と死に別れるということは『その人ともうずっと別れられないこと』を意味します。」

この旅で出会ったどこかの禅のお坊さんが言っていました。

ひとりになろうとすればするほど、僕はひとりになれず、
悲しさを味わおうとすればするほど、僕は優しさに包まれました。

父を亡くしたこの悲しみは、消えることはないのかもしれません。
けれど、僕はこれからもずっと父とともに生きていくのでしょう。

壮大なヒマラヤを前に、ある小説家の言葉を思い出しました。
『メメント・モリ』と題したこのシリーズを僕は、その小説家の言葉を借りて締め括ろうと思います。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。


こんにちは、赤ちゃん。この星へようこそ。
ここでは、夏は暑くて冬は寒い。
ここは丸くて、艶々していて、騒がしい。
ねぇ、赤ちゃん、ここではせいぜい100年ぐらいの命さ。
そしてね、赤ちゃん、僕が知っているここでのたったひとつのルールがあるんだ。
「なんにしても君は、優しくなきゃいけないよ。」

ーカート・ヴォネガット


みなさまがいつも優しさに包まれますように。

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