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量は質に転化する、は求人広告コピーにもあてはまるか

おつかれさまです。

年末進行もいよいよ大詰めにつき手短に。

さいきん流行らない法則に量は質に転化するというものがあります。ぼくは質に転化したかどうかはさておきとにかく量をこなしてきた人間なので、この法則を否定することができません。

なので、求人広告のコピーにおいても、やはり量は質に転化するのです。

  終
制作・著作
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で、済むなら「ありがとう!年末進行」ってなもんです。さすがにこれでは終われません。

量が質に転化しない人がいる

ところがですね、この法則をまっこうから否定してくる人が一定数いるんですね。過去、ぼくの教え子にもいました。

「キャッチが上手くなりたいです」
「そうか、じゃまずは量を書くことだね」
「量ですか!まかせてください」

三ヶ月後

「ハヤカワさん、全然上手く書けません」
「なぜだ!?量をこなしているのか?」
「もちろんです!量なら誰にも負けません」
「もしかするともうすぐ上手くなるかも」
「わかりましたがんばります!」

半年後
「ハヤカワさん、向いてないので辞めます」
「なぬ?」

と、いうようなやりとりをした覚えがあるんですね。これは完全にぼくの指導力のなさであります。

その子には「量は質に転化する。ただしどこで転化するかはその人次第なんだよ。君の場合はまだ質に転化するポイントまで到達していないんだから、あきらめずに精進しなさい」と絶望的なアドバイスをしたものです。

いまならわかる。違う違う、そうじゃない。間違ってないけど、そうじゃないんですよね。

どうすればよかったのか

確かに、量が質に転化するタイミングってのは人それぞれだと思います。だけどそのタイミングを少しでも前倒しにすることはできる。

それには、ただいたずらに量をこなすのではなく、正しいフォームを意識して量をこなす必要があるんです。

そのために必要なのは壁打ち。あるいはお稽古といってもいい。要はひとりでモクモクとやるのではなく、誰かにチェックしてもらう。

その場合の誰かは、できれば腕のいい先輩や上司にしたほうがいい。簡単なフィードバックでいいから、書いたものを第三者に見てもらい、感想をもらうことが大事なのです。

そして、いただいたアドバイスを虚心坦懐に受け入れる。そのアドバイスに従って次のコピーワークに臨む。それでも、いつまで経っても上達しないのであれば、そのアドバイスが間違っている可能性があるので、ためらわずに頼る相手を変えましょう。

自分で書いたものを自分で冷静にジャッジするのは非常に難易度が高いです。いいのかわるいのかよくわからない状態のまま量ばかり追いかけていくと、そのうち量を出すことが目的となってしまいかねません。

やってる感で満足しちゃうやつですね。

でも同じところをぐるぐる回っているだけでは、時間の無駄でしかありません。いそいで壁打ち相手を見つけてください。

もし壁打ち相手がいない場合は

「壁打ち相手がおらんようなヤツにいいコピーは書けんわ」

きっと、ぼくの師匠である竹内基臣さんならこうおっしゃるでしょう。コピーは人格。だからいい人格のヤツがいいコピーを書く。そういう思想の持ち主でしたから。

そうはいってもいないもんはいない、という悲しきヤングもいるはず。

たとえば、よんどころない事情からいきなりフリーになっている、とか。あるいは小さな会社で制作は自分ひとり、とか。

もっというと上司も先輩もセンスがない、と思ってるとか。

そんなとき、どうするか。

ぼくは「コピーの写経」との二人羽織作戦を提案します。

仕事では量を書く。一方で業務以外で名作コピーを写経する。昔はコピー年鑑からの写経がデフォルトでしたが、自分がチョイスするコピーがいいコピーかどうかわからないという危険性をはらんでいました。

そこでぼくがおすすめするのがこの一冊。

なんたって仲畑さんが「記憶のコピーを探すのに、重いコピー年鑑をあちこち開くのはたまらん。良いのだけ一冊にまとめてほしいなあ」と言ったことから生まれたのがこの本です。

つまり、重くない。しかも、厳選されている。

ここに掲載されているキャッチコピーを写経(なんどもなんども書き写す)することで、目が、手が、脳がいいコピーのフォームを覚えてくれます。

そうすれば、自分が書いている「量」のコピーのよくないところに気付ける確率が高まります。なんか上手く書けないな、写経しているコピーのようにならないな。そんなふうに気になりだしたら、名作コピーまであと一歩です。

量が質に転化した状態とは?

ところでぼくは冒頭で書いたように、びっくりするぐらい量をこなしてきました。ダメ出しの連続が二週間ぐらい続くスパルタンなプロダクションに幽閉されていたからです。

じゃあさぞかし質に転化したでしょうね…と思われるかもしれませんが残念ながらいまだにその実感は得られていません。

ただし、若いうちに量をこなしたことで、確実に書く速度が速くなりました。この速さを手に入れたことはぼくにとって大きなアドバンテージになっています。

とにかく速く最低ラインの水準のコピーまではたどりつけるようになったことで、そこからさらに良くするためにどうしたらいいか考えたり、いろいろ試したり、仕切り直しできる。

依頼そのものから見直してみる、なんていうトリッキーな企画提案もできたりして(実際にいちばん喜ばれるのがこれだったりします)。

考える余裕が生まれるってことが、ぼくにとっての量が質に転化した何よりの証なんじゃないかなあって思います。コピーは上手くなってないんですけどね(泣)。

と、いうことで

今回は量は質に転化する、という法則を題材にしましたが、伝えたいことはただひとつ。言葉の意味をよく考えて使うと、上手くいくことは多くなるよということです。

言葉を字面だけで捉えてしまうと、意外な落とし穴があったりして。ひとつひとつの単語も「これはどういうことを指すのかな」という単位まで細かく砕いて考えて理解する。

インターネットの世界ではなんでもかんでもササッとパパッと、に流されがちだから、より意識したほうがいいと思うんですよね。

特に求人広告制作者はね。

そんじゃーね。

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