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子供心に恐怖を感じたもの

とにかく気が小さくて甘ったれ。なにかというとすぐに泣く根性なし。男のくせに…としょっちゅういわれる。そういうお子様だった。

どれぐらいチキンか、というと、たとえばこんなエピソードが。

ある日、特撮テレビドラマ『超人バロム・1』を見た。バロム・1といえばグロテクスなドルゲ魔人を相手に正義の味方が戦うというわかりやすいストーリー。

その日の魔人は唇のおばけ「クチビルゲ」だったか目玉のおばけ「ヒャクメルゲ」だったか。とにかく本放送を見てから布団に入ったチキンハヤカワは悪夢にうなされるだけうなされた。あまりのうなされ具合を心配した祖父母がテレビ局に抗議の電話をしたほどである。

テレビ局は悪くない。バロム・1も、なんなら悪の魔人ドルゲも悪くない。悪いのはチキンな上に甘やかされて育ったぼくなのだ。うなされるほど恐怖を感じるなら見るなよ、バロム・1。

と、いった具合にとにかく怖がりだったのよ。

そこで今回はわたしが幼少期にこの画面がブラウン管に映るだけで恐怖し、号泣あるいは物陰に隠れ耳を塞いだ映像を紹介します。

ご安心ください、いったいこれのどこが恐怖なんだ、頭大丈夫か?と思えるような映像ばかりです。まったくもって閲覧注意ではありません。

フルールの天気予報

洋菓子のフルールという会社が提供する東海地方ローカルの天気予報である。アップテンポのオリジナルソングとかわいい女の子のアニメーションで構成された1分30秒。ぼくはこれが流れるとすかさず台所に逃げて物陰に隠れたまま耳を塞いでおりました。

いま見返してもなにも恐怖に感じる要素はない。しかし当時はとにかくこわかったのだ。この女の子の足の長さがこわかった。次々と画面奥からズームアップで映し出されるケーキたちがこわかった。最後のカットの「おわり」という文字がこわかった。

なぜ?

どっか具合でも悪かったのか?

天才クイズ

敷島パン、という『ゲッターロボ』マニアが聞くと敷島博士?というあらぬ妄想を勝手に描いてしまいそうな名古屋ローカルのパン屋が一社提供していた子供向けクイズ番組。1967年から2004年まで放送されていたというから結構なご長寿番組だったのだなあ。

さて、これのなにを怖がっていたのか。それはオープニングのかわいいわんちゃん…ではなく、画面中央に鎮座まします『天才博士』である。ぜひ映像を確認していただきたいのだが、ひげをたくわえメガネをかけたいかにもな感じの巨大な人形。これが怖かったのだ。

そして司会の高松しげおさんの「博士!お答えをどうぞ!」の呼びかけに対して「答えは…ノォォーッ!!!(当然イエスのときもあります)」の叫び声。特に「答えは」から「ノ」だの「イェ」までの間が微妙にある点。これまた幼年時のぼくを恐怖のズンドコに突き落としてくれた。博士がイエスだのノーだの言うたびに泣き喚く子供。当時のわが家はそりゃあもう大変だったとおもいます。ばあちゃんしかいなかったけど。

放送番組センターの公共広告

いま見ると微笑ましい以外の感想が湧いてこないのだが、その昔、三重テレビで放送されていたこの広告シリーズが本当に恐ろしかった。音楽もそうだし、アニメもおどろおどろしく感じていたのだ。アニメ以外にも実写ものもあった。それも同じように怖かった。

動画は関東地方のものらしいが、昭和40年代はおそらく全国各地で流れていたのだとおもう。公共財団法人放送番組センターという団体が制作した公共マナーを啓蒙する目的のコマーシャル。このコマーシャルの怖さはぼくだけのものではなくて、ネットで検索すると結構な人が同様に恐怖を感じていたみたい。

なかでもぼくがいちばん恐れていたのは『夫婦げんかは事故のもと』というヤツ。石器時代の原始人夫婦が最初は仲がいいんだけどなにかで揉めて、旦那さんが怒って外にでていき事故にあう、という救いようのないストーリーだった。

子供心に夫婦げんかはしてはならない、と固く、強く誓ったものだ。

■ ■ ■

やがて年を重ねるに従ってこのような映像や音響から恐怖を感じることはなくなったのですが、これはどういうことなんでしょうかね。まともになってきているのか、はたまた感受性が鈍くなっていったのか。

なんでもかんでも怖がるのも考えものですが、ある程度センシティブな感性を持ち続けることができたら…それはそれで悪くないような気もします。むしろあの感覚がなくなったいまちょっと寂しいような気も。

いまお子さんをお持ちで、なんかこの子へんなことに怯えすぎだけど大丈夫かな、と心配なおかあさん。たぶん、大丈夫だとおもいますよ。きっと、いつの間にか平気になっていくんじゃないでしょうか。むしろ怖がりなことをプラスにとらえてあげてほしいですね。

あれ?何の話だっけ?

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