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2022年夢中の旅

まさか本当にそんな年がやってくるとは思わなかった、2022年。

小学校4年生のときクラス中の男子が回し読みした一冊の本により、1999年7の月に人類は滅亡するはずだったのに。

2000年はおろか、2010年も、2020年まで来た。そしてとうとう2022年だ。来てしまったものは仕方がない。

おそらくだけど2222年までは生きられないはずだから、2が美しく並ぶ年を過ごすのは今年が最後になるでしょう。

であれば。
せっかくなので。

ふだんの年始にやらないことをやってみようと思います。

それはなにか。

年頭の誓い、みたいなやつ。
今年の抱負、というやつね。

前もどこかに書きましたが、基本的に有言実行ではないのよ。でも頭の中ではこうしよう!と決めることはあるんです。今年も3つほどある。なので新年最初のnoteでは柄にもなく宣言といいますか、文字に残しておこうとおもいます。

1.もっと聞く人になる

今年はとにかく人の話をひたすら聞こうと決めました。もともと人の話を聞くのは好きなんですが、そして聞くほうではあるのですが、もっと。意識的にしゃべりを抑えていこうと思います。

これまでのぼくはしゃべることで聞き出す、というスタイルが得意でした。いわゆるテレビバラエティのMCのイメージです。相手が答えたくなるような球を投げて、返してもらうやりかた。

でもこれだと途中から自分がそのやり取りを楽しんでしまう傾向にある、と昨年末に気がついたのです。11月から12月にかけて37人分のインタビューを行ない、そのテープをひたすら起こしているとき。

「あ、これ途中から俺、楽しんでるな」

そうなると、聞いているようで実は聞いていない。いつの間にか自分の意見や思考を挟んだり、誘導したりしている。

その結果、インタビュー終了時にインタビュイーから「いろいろ引き出してもらえて楽しかったです」などと言われて得意になっている。

これって本当に聞いているのか?傾聴しているといえるのか?インタビュイーが割いてくれた時間に敬意を払えているのか?

昨年読んだこの本を年末年始に再読して、やっぱりそれは違うな、と思ったのでした。

『LISTEN』ケイト・マーフィ著 篠田真貴子監訳 松丸さとみ訳 日経BP発行

ですので今年はとにかく相手の話に耳を傾けることに注力します。通常運転より口数が少なめですがそれでたぶんちょうど普通ぐらいですからご安心ください。

2.汲み取る力を鍛え上げる

これも昨年後半の仕事での反省です。

結構な勢いで「それ最初に言ってよ…」と思う仕事が多々ありました。採用広報コンテンツの成否は編集部が鍵を握っていると再認識しました。

「それ最初に言ってよ…」案件はクライアント側に編集部不在あるいは編集機能不全の際に発生します。誰に何をどのように伝えるコンテンツなのか、が原稿チェックの段階で恣意的にゆがめられていくからです。

それもそのはず。発注時や取材時にまったくディレクションがないまま記事作成に入るわけですから、できあがったものにいろいろオーダーが発生するのも当然です。

で、今後はこういうケースを未然に防ぐために事前に必ず打ち合わせをするといった改善策を考える一方で。

「それぐらい汲み取れないでプロと言えるか?」

というザ・ファブルに出てくる殺し屋ばりの疑念が頭をもたげます。

どんな状況下の案件でも一歩かニ歩先回りして、クライアントに負担を一切感じさせない成果物に仕上げる。上手くいくまでは結構手間がかかるし気配りも情報収集も必要だが、かいた汗を微塵も見せずに当たり前のように仕事を全うする。

それでこそプロだし、カッコよくないか?と、思ったのです。

子どものころに仮面ライダーやウルトラマンに本気でなりたいと思っていたぼくは、そうなれなかった以上、せめて自分の生業ではカッコよくありたいと強く思っています。

だったら、仕事がうまくいくかどうかを分かつディバイドを相手に委ねるなんてみっともないマネはしてはいけないですよね。

だからクライアントの言葉、思い、依頼、状況すべてを汲み取る力を鍛える。なんだか愛知県作手村に現存する便所のような力ではありますが、むしろ泥臭くていいんじゃないかと。

この本も再読します。手垢で汚れるまで。

『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』古賀史健著 ダイヤモンド社発行

3.ソロ活動からチームワークへ

ここ5年ほど、理解ある経営陣のおかげで正社員として雇用してもらいつつ会社の仕事よりも自分に直接ご指名いただける仕事を優先してきました。つまり会社員でありながらフリーランスみたいなスタンスですね。

その代わり、自分宛ての仕事のギャラは全て会社に入れてきました。月によってはいただくサラリーの何倍もの金額になることもありました。

「もったいなくない?」
「独立したほうがいいのに」
「一歩、前に踏み出そうよ」

周囲から必ず言われる言葉です。でもいいんです。残念ながらぼくにはフリーランスでずっと食っていけるような才覚はありません。そのあたりは超シビアに見積もっています。

これで会社員としての生活が嫌で嫌で仕方がないならあるいは選択肢になるかもしれません。でも特に不満はない。社員ですが働き方も休み方も自由ですし、会社のメンバーはみんな若いですがいい人ばかりです。

前職では会社生活が嫌で嫌で、とっとと辞めて5年ほど修行してから独立しよう!と心に決めていましたが、いまは会社生活は楽しいわけで。もうお前いらんわと言われたら仕方がないけどそれまでは籍を置いておこうと。

で、今年。昨年からの流れでやや会社の仕事にウェイトを置かざるを得なくなってきました。事業再編やサービス再構築を経て、新規案件の全ての入口にぼくが関わることになったのです。

主にブランディング設計とそこから派生するテキストコミュニケーション全般のプランニング、さらに運用支援となると、それなりに時間もかかりますし、もともと足りなめの能力をフル稼働させないと難しい。ディレクション業務も大幅に増える予定です。

またそういったプロジェクトで大きな予算を獲得することは会社にとっても正しい経営判断。で、あれば5年分の恩もあるし、ここはひとつソロ活動からバンド活動に戻ろうか。じゃなくてチームワークの比率を増やそうかという意思決定をしました。

会社所属のADやDは若くしてグラフィックからWebまで幅広くビジュアルコミュニケーションを手がけられる手練が揃っています。この5年間のソロワークでもブックデザインやロゴ作成など、至るところで助けられました。勉強にもなるし刺激ももらっています。

と、いうことでECサイトやコーポレートサイト、採用ページなどでお困りの方がいらっしゃいましたらぜひお声がけください。まずは実績をご確認いただき、その上でたくさんお話しましょう。

もちろんソロ活動もクローズするわけではないので、インタビューやインナーブランディングなどでお困りの経営者のみなさま、コーポレート部門責任者のみなさま。電通より低姿勢で博報堂より安い博通ことハヤカワヒロミチにお気軽にお声がけください。

■ ■ ■

なんとなく最後は営業になってしまいましたが、今年の頭にお台場から東京芝浦を眺めながら決意した3つの事柄を年頭の誓いとして書きました。

本当はこういうのってあんまり好きじゃないんですよね。言ったり書いたりしたことに縛られて窮屈な思いをしたくないので。言葉には言霊が宿っているし。

でも年明け早々に、非常に身につまされるというか、実にミートゥよミートゥ、なnoteを読んでしまった。

このnoteの中で少年Bさんは、自分の文章力に自信がない代わりに武器として発想力や構成、提案力がある、と言い続けてきたことに対して

でも、ひとつ思ったんです。そこに本当に「言い訳」の気持ちはなかったのか。と。
「わたしはもう、言い訳をしない」より

ぼくはこの一文で顎がはずれそうになりました。
まるでぼくの心が見透かされているかのようで。

この連載では「本業が70点でも、その他で20点を取れば90点になるんですよ」なんてことも書きましたが、じゃあ本業の70点を90点、100点にする努力はしていたんだろうか、と。
「わたしはもう、言い訳をしない」より

ぐうの音も出ません。
ぼくも努力してないどころか司会スキルを磨いたりしてました。それも「コミュニケーションの一環だから」などと言いながら。

自己評価の低さだったり、謙虚といえば聞こえはいいですが……自分の点数を低くつけるのは、ちょっとプロとしてはよくない姿勢だったのかもしれないな、なんてことを今になって考えたわけです。

わたしが文章を書くのは、あくまでも「仕事だから」です。わたしには魂を削って書くような想いも、鬼気迫るような真剣みもありません。

でも、それでもプロです。
「わたしはもう、言い訳をしない」より

ああ、そうだよ少年Bさん。おれもやめるよ言い訳。

少年Bさんのものすごく正直で、かつフラットな打ち明け話を読んで、そんなふうに正月早々思ったわけです。

言い訳をやめる以上、宣言するか。
ぼくもちょっとはずかしいけど自分の文章に100点をつけられるよう仕事に夢中になってみるか。

そんな決意を柄にもなくしたのでありました。少年Bさん、ありがとうございました。中年Hもがんばります。

みなさま、2022年もよろしくお願いします。

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