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慣れるより、燃えよう。

今回はさらっと読むと求人広告の話ではないように思えるかもしれません。

しかし実はその奥に深遠なる含蓄のようなものがある…とはいい難いです。結局やっぱり求人広告とは関係ありませんでしたーっ!ってなことになる可能性も否定できません。

が、まあ、いつまで経っても残暑厳しいことですし、そのあたりはご寛恕いただきたく。


先日ひさしぶりにクルマの運転をしたら、怖かった。

首都高はそもそもおっかないのだが一般道でもなぜかリアルに自転車をはねたり人をひっかけたり、あるいは右折しようとしているクルマに突っ込んだり、というめくるめく事故るイメージ映像が脳に浮かんでは消える。

いったいどうしたというのだ。

最終学歴である東名自動車学校を首席で卒業した時点で『東海のミスター車両感覚』との異名を取るほどドライビングテクニックには自信があったのに。クルマの運転が大好きで、ハンドルを握っていればごきげんだったのに。

めちゃくちゃ緊張して、免許取り立てのような慎重さで運転した。

たしかにここ数年の“酷暑日本”の夏には向いていないクルマ(クーラーがないに等しい)であり、ここのところ休日といえば上野や浅草などで昼から飲み歩いているので、運転から遠ざかっていたのは事実だ。

しかし、だからといって…と、この現象をなにか一時的なものに封じ込めたい気持ちがむくむくとわくその一方で、まてよ。とおもった。

いま俺はかなりビビりながらこの小さなクルマを動かしている。

もしかしたらそれでいいんじゃないか?

こんな1トンに満たないクルマだって金属の塊だ。ある程度スピードを出せば人を殺めるだけの事故は平気で起こせる。もちろんクルマ同士ともなればそれだけ被害の程度も大きくなるだろう。

だったらいまぐらいの慎重さでハンドルを握るほうが良いのではないか?

これまでは「運転なんてラララーララララーラー♪」と鼻歌まじりでツラのいいネーちゃんをチラ見しまくりながら来週のプレゼンの企画を考えつつひじを窓からだして片手ハンドル、みたいなクルマの乗り方をしていたのだがそっちのほうが間違っているのでは?

いや、間違っとるよ。
逆に怖いわ、そんな運転。

そしてわたしの頭の中に浮かんだ二文字が

「慢心」

なのでありました。


さてこの「慢心」ですが、おそらく慣れからくるものでしょう。

慣れというと、基本的にはポジティブにとらえられがちですよね。ほら、よく言うじゃないですか「習うより慣れよ」とか。「慣れは上達の一歩」とか。

だいたいどこの職場でも5月の頭ぐらいになるとその年の新卒入社者が辞表を持って上司の元を訪れます。すると上司は決まってこういいます。

「最初はなんでも大変なんだ。どんな仕事でもやってりゃ慣れる。変なこと考えずにまずは目の前の仕事に打ち込み給え」

その結果、新卒入社者は「だめだこれは話にならん」と退職代行サービスをつかってスタコラサッサと転職するんですけど。

どんな痛みも、どんな苦しさも、慣れればどうということはない。

しかし果たして本当にそれでいいのか。

仕事にあてはめた場合の、慣れ。慣れてる人の仕事。確かにスムーズな気がします。安定感もあるかな。正確に遂行しそう。いいことづくめ。

だけどそれって本当にそうなのかな。


解像度を上げるために自分ごととして考えてみます。

いま取り組んでる仕事たち。どれも慣れるなんてとんでもない。毎回ドキドキしています。緊張しています。上手くいくかな、これでいいのかなとビクビクしています。

「ハヤカワなんだこれわあ!」と怒られたり「がっかりしましたよ…」と失望されたくない。どうしよどうしよ、と弱気の虫に全力で煽られながら仕事をする日々です。

採用広報でも、インタビューでも、インナーブランディングでも、ステートメントでも同じ。もちろん求人広告だってそうです。

じゃあ過去に慣れた仕事はなかったか、というと、ありますあります。

居酒屋の接客業。あれはもう天職ってぐらい慣れてました。その経験があったからか求人広告の世界に戻ってから飲食系の募集コピーを書くのにもかなり慣れていました。

あと包み隠さずいえばいまのスタイルでの仕事をはじめてしばらくした頃「まあ、こんなもんかな」と慣れかけていたこともあります。

そしていま振り返ると「こんなもんかな」「一丁上がり」でやる仕事には「飽き」がきます。仕事に飽きると舐めてかかります。そうです、慢心です。

接客業でも、飲食の求人広告でも、企業スローガンでも、恥ずかしながら慢心から非常に苦い思いをしたことを覚えています。

これら過去の痛い経験が、いまのわたしの自信のなさにつながっています。結果いつまで経っても慣れることなく、ビビリながらの仕事を強いられている。

そうなのであれば、もしかするとそれで良いのかもしれません。

そして。

尊敬するコピーライター、岩崎俊一さんの言葉に

「慣れてる人より、燃えてる人」

というフレーズがあります。

そうだよなあ、とおもいます。慣れてるよりも、燃えていたい。ビクつきながら、おどおどしながら、でもみずみずしい気持ちを忘れずに仕事に向き合っていきたいとおもいます。

そんなことを偉そうに書きながら、今日夕方からの打ち合わせを、その前の会議が白熱したばかりにうっかり失念してしまったわたしだ。

ほんと、すみません。

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