【気になる言葉】ぶっきらぼう
生まれついての小心者かつ見栄っ張りで損ばかりしている。素直なようで妙にプライドが高く、頭が堅い。嫉妬深い割に努力が嫌い。
そんな、ほぼ人間失格なぼくが憧れるキャラのひとつが「ぶっきらぼうなヤツ」です。
ぶっきらぼうなのに、なぜか周囲の人たちから好かれる。ぶっきらぼうがゆえに、モテる。ぶっきらぼうな人気者。
ああ、なんてかっこいいんだ、ぶっきらぼう。
ぼくもぶっきらぼうになりたい!
早くぶっきらぼうになりたい!
(くらい さだめを ふきとばせ)
と、稲妻を背景に妖怪モードのまま叫んだその刹那、ある疑問が浮かびます。
ところで、ぶっきらぼうって、なんだ?
岩波国語辞典第三版
ここでお得意の岩波国語辞典第三版を頼ることとしましょう。
ふつ、ふつか…と目線を動かしていくと
あれ、なんだかベリーライトな記述ね、二日酔い。こんなだから俺、アル依症の大人になっちまったのかな。この辞書とはもう43年もの付き合い。当然ながら少年時代より刷り込まれ続けてきた知のスタンダードなわけです(大げさな)。
もっと、こう
これぐらい仔細かつリアルに描写されていれば、きっと子供心に恐怖を抱いて大きくなっても酒なんかぜったい飲まないぞェとなったに違いないでしょうよ。
それはさておき
話をぶっきらぼうに戻します。
ぶっきらぼうの意味、辞書にはこうありました。
なるほど、あいきょうがなく、ぞんざいなのね。うんうん、おおかた思ったとおりです。
ん?
ぶっきら棒、ではないのか。
ぶっきらぼうの解説にも、またその近くにも、漢字表記については一切記載がありません。
ぶっきらぼうってぶっきら棒と書いて、やぶから棒の親戚かなにかだと思ってた!
ちなみにやぶからぼうを調べてみると
ない。
代わりに
「やぶ」の解説にインクルードされていたんですね。やぶから棒は、だから正式には「藪から棒」なわけです。そして辞書にも認められている。
「ぶっきら棒」は存在しないのか
ここでチャットGPTの脅威に恐れおののくGoogle先生に聞いてみましょう。すると、さすがは先生です。語源についてもわかりました。ちょっと引用します。
なるほど、そうなのか!だとしたら「ぶっきら棒」もあながち間違った表記というわけではないのですよね。
そしてわたしが「ぶっきら」という言葉を耳にするにつけ思い出すものがあります。
それがこちらです。
その名も「ブックラ」
モーグと並ぶシンセサイザー開発の父、ドン・ブックラが設計したシンセサイザーです。日本にはじめて輸入されたのが1970年。東京芸大の音響研究室に設置されました。
そして熱心なYMOファンのみなさんならここでピンと来ると思いますが、東京芸大といえば“教授”こと坂本龍一さん。
若き日の教授は相当とんがっていたようですが、音響研究室にあるブックラを見て「見た目が科学っぽくて好き」といたく気にいり、いろいろ配線しまくって遊んでいたそうです。
しかもこのヴィンテージシンセ、令和の時代に復刻されたとのこと!2022年3月にリリースとあるのでそろそろ一年が経過していますね。初期ロットにありがちな不具合なども改良されているはずなので、好事家のあなた、ぜひ入手してみてはいかがでしょうか!
いつのまにか
マニアックなヴィンテージシンセの話へと飛躍してしまいましたが、それだけぶっきらぼうの周辺世界は広い、ということが言えるのではないでしょうか。
そして、こんな箸にも棒にもかからない雑談をグダグダやってる時点で、やはりぼくはカッコいいぶっきらぼうキャラにはなれないような気がしてきました。
ああ、憧れのぶっきらぼう
どうしたらなれるのだろう
お〜し〜え〜て〜ほ〜しい〜
イン ガンダーラ ガンダーラ
(↑こういうとこやぞ)
引き続きよろしくお願いいたします。
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