俳句 寅さんの秋7句
さみしさに紅葉踏み分け自撮りする
巫女舞いの農婦もいたり曼珠沙華
天高く肥ゆるアンナはロシア系
さんざんなことばかりある案山子かな
風天の肩をさがすや赤とんぼ
寅さんをふと観たくなる月夜かな
美千代にも見えて貴き薄の穂
「ひとり連句」(2)の拙句「映画ロケ寅さん紅葉踏み分けて」の派生です。
ひとり連句というさびしいけどまあまあ愉しいお遊びしていたら、秋の畦道を例の格好であるく渥美清があらわれました。寅さんも好きだけど、寅さんの渥美清を普段の生活でも貫いた生真面目な役者気質の渥美清により惹かれます。倍賞千恵子や山田洋次などの旧知によって素の彼が語られるのは亡くなった後のこと。それまではタブーだったんでしょうね。
趣味は俳句。句会にふらっとやってきて、寡黙に句を詠み、ふらっと帰っていったそうです。俳号は風天。
風天の秋の句
赤とんぼじっとしたまま明日どうする
案山子ふるえて風吹きぬける
秋の野犬ぽつんと日暮れて
コスモスひょろりふたおやもういない
村の子がくれた林檎ひとつ旅いそぐ
Wikipediaによれば、新玉美千代の「熱狂的ファン」だったようです。
田所康雄(本名)のマドンナだったんですね。
自身の結婚の式の時は「新珠三千代さんごめんなさい」とコメントしたそうです。このペーソスをまぶしたユーモア。天才です。
付記:Wikipediaの渥美清には山田洋次の弔辞もあります。泣かせます。
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