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『憲法学者の思考法』について

みなさんこんにちは。白鴎大学文芸同好会です。

定期テスト期間ももうすぐ後半戦!


テストが終われば、いよいよ夏休みですね。


でも、夏休みといってもこのご時世遠出も難しい。だからといって勉強もしたくない……。


このように考えている方も少なくないのではないでしょうか。

そんなあなたに紹介したいのが木村草太氏の『憲法学者の思考法』です。

「え!?憲法?難しそう!」「学者さんの本って読みづらそう!」という印象を持たれるかもしれません。

確かに、憲法はいろいろな法領域に影響を及ぼす最高法規で、法学部生でもその全容を語ることはとても大変なことです。


しかし、この本はその憲法の考え方を用いた「エッセイ」なのです。

この本の世界観を知ってもらうため、ある一節を引用したいと思います。

担任の支配権は、その内部では最高であり、外部からの介入から独立している。教室は領土であり、級友は国民だ。部外者は外国人観光客の地位に甘んじるかもしれない。担任の資質次第で、学級は暴君による絶対君主制のようにもなれば、慈悲深い君主の治める理想の王国のようにもなる。担任が子どもたちからの忠誠を失えば、無政府状態となる。こうした現象は、「学級崩壊」と呼ばれる。(同書211-212頁)

これは、著者が学級王国を比喩的に表現した箇所です。

わたしたちは無意識的に「王国」という言葉を使っていますが、国家や主権という定義に沿えば、小学校に顕れる「学級王国」はこのように表現されるのです。

そして、筆者はこの状態を打破するために「公共スペース」を設置することを推奨しています。

他にも、将棋とAIの話があったり、洋画と人文書と小説の話があったりと、木村氏はさまざまな分野の事象を、「法学的」に見ており、法学に触れたことがない人にとっては「法律を勉強している人はこんな風に考えているのか~」と新しい世界を知るきっかけになると思います。

また、法学部で憲法を学んだことがある人にとっても楽しめる内容になっていて、死刑違憲論や生前退位、外務省秘密電文漏洩事件と特定秘密保護法の関係など、斬新かつロジカルな学説提起は、教科書や判例集では触れられない知的好奇心をそそるものでした。

「判例」や「学説」など法学部以外では耳慣れない用語を使ってしまいましたが、本書は法学に関する知識がなくても十分楽しめるはずです。しかも、楽しみながら法律の知識や考え方が得られるのでとてもおススメです。

白鴎大学図書館の蔵書にもあります。是非とも読んでみてください!

                            副会長


追記:副会長は明日試験なのに試験に関係ない本を読んだりnote編集をしたりしています……反面教師にすべきですね。



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