見出し画像

フリーランス医師って結局何時間まで働けるの?

はじめに

※この情報を元に生じた一切の不利益に対して私は責任を負いません※

とても久しぶりに記事を更新する気がしますσ(^◇^;)
最後に記事を書いたのは大体一年前の統計検定のときですかね・・・
近況はいつか記事にするかもしれませんが、とりあえず今は置きましょう。

今回は自分用に、主な勤務先を持たない医師の働き方を整理します。
わたし自身今は3年目で早々に「ゆるふわフリーランス医」って感じなので、気になった点を調べてまとめた記事です。

弁護士の方とか社会保険労務士の方もフリーランス医師についての記事は沢山書いているのですが、読んでみるとそれぞれ微妙に見解が違っていたりして迷うことがあります。今回得た結論はネットの検索では目にすることがなかったので、記事を書く価値があると思いました。

ここに書いている情報は自分用なので、この情報を元に生じた一切の不利益に対して私は責任を負いません。まずそれを書いておきます。ただ、違う部分などがあればコメントくれると嬉しいです(^○^)

まとめ

長くなってしまったので先に要点をまとめておきます。

非常勤医師のバイトで生計を立てるだけ(他に仕事がない)なら

  • 普通の労働者なので個人事業主にはなれない 青色申告も無理

  • 法定労働時間を守る必要がある(36協定までは多分セーフ)

  • 960時間の上限(A水準)は適用されない

  • そもそも普通の労働者なので、医師の働き方改革の問題は特に関係がない

ゆるふわフリーランス(個人事業主)医師は存在しない

さて、早速ですが多分そうです。

ここで言う「ゆるふわフリーランス医師」っていうのは、基本的に楽な外来(DO処方だけで済むような患者さんばかり診る)とか寝当直(慢性期の病院とか精神科の病院で余程なにか無い限りは呼ばれない)とかばっかり探して働く人たちだと定義します。

そうすると、そういう仕事は例え医局とかエージェントとか介さずに自分で見つけたとしても、病院と雇用契約を結ぶことになります。雇用契約を結ぶ以上は、その限りにおいては労働基準法九条が定める労働者に該当します。ということは、仕事の見つけ方自体はフリーランスのプログラマーとかWebデザイナーと似ているように見えますが、委託契約や請負契約を結ぶわけではないことにはフリーランスになり得ないというわけです。

この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者を言う。

労働基準法九条

もちろん、当然ですけど医者としてのバイト以外に起業していたり講演したり執筆したり不動産持ってたりで生計を立てていて、そっちのほうで開業届を出すんであればフリーランス医師とは言えます。でも、巷で言われているように非常勤だけで生計を立てる医師というだけでは個人事業主になれないのでフリーランスでもありません。個人事業主じゃないので青色申告もできません。

ゆるふわフリーランス医師には労働基準法の適用がある

労働基準法九条に該当するので、当然労働基準法が適用されます。
労働基準法では、色んな病院で働いたとしてもその労働時間は合計してカウントする必要があることになっています。

労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。

労働基準法三十八条一項

そして、使用者(病院)の方に労働時間を適正に把握することが求められています。罰則がある場合もあればない場合もありますが、いずれにしてもフリーランス=労働時間無制限だと勘違いして怒濤の勢いで仕事を入れたりすると場合によっては労働基準法に抵触して、病院に迷惑をかけてしまう可能性があることは頭に入れておいて損はないと思います。

わざわざ書くまでもないんですけど、労働基準法には基本的に一日8時間まで、一週間40時間までと言う労働時間の上限が定められています。そして、労使協定を結んで届出をした場合には、その上限を超えて労働ができるということになっており、これを36(サブロク)協定と呼んでいます。

36協定では通常1ヶ月につき45時間まで、1年につき360時間までの時間外労働が認められる(罰が科されない)ことになるのですが、更に特定の条件を満たすと1年につき720時間まで(他にも条件はありますが割愛)認められることになります。これを特別条項付き36協定(エスケープ条項)と呼んでいます。

法定時間外労働は長くても36協定に抑えておくのが無難

ここで問題が生じます。もし自分が働く医療機関が36協定を締結していなかったらどうなるでしょう?(多分そんな例は稀でしょうが)

当然ですが、時間外労働は認められないことになります。

エスケープ条項についても、認められる期間は長くても1年に6ヶ月までなので、自分が今働いている医療機関がエスケープ条項期間中なのかを確認しなければならないことになるわけですが、実際現実的じゃありません。

以上から、よほどトラブルを避けたければ法定時間外労働は慎むようにしておき、あんまり気にしないとしても36協定を超えた労働時間にはならないように注意する必要があります。

え?医師は年間960時間まで認められるんですよね?

そうです。一方で、勤務医には医師の働き方改革が適応されるので最低でも年間960時間の時間外労働が認められるという例外があります。

ですが、書いているようにあくまで勤務医に適応される既定です。勤務医というのは常勤医のことだと考えられます。それは、厚労省が医療機関向けに出している資料から分かります。

ということは何が起こるかというと、常勤先を持たずに都度非常勤の雇用契約を結んで働くフリーランス医師には適用されないんですね。なので、さきほど言ったように36協定を超えて労働することはできないと思っておいた方がいいと思います。(36協定はすべての労働者に適応されるので大丈夫)

どういうわけか、この点をちゃんと書いてる情報が見当たらなかったんですけど、趣旨を考えると常勤勤務医の過剰労働を防ぐための医師の働き方改革なので、そもそもフリーランス医師は医師である前に普通の労働者扱いです。多分日日雇い入れられる労働者と同じような感じになると思います。

じゃあフリーランス医師は稼げないのか?

もちろんそんなことはありません。宿日直許可があるからです。

医療法に定められているところ、病床がある病院は必ず医師が常に一人以上いないといけないわけですが、常勤の先生たちだって休みたいわけですし基本的に落ち着いている慢性期とか精神科の病院だったら言ってしまえば形だけ医師がいればいいわけですから、非常勤の仕事が生まれるんですよね。

ということはそういう当直は殆ど寝ていることができるわけです。それを労働時間に含めてしまうとすぐに法定時間を超えてしまうので特に医師不足のなかにおいては当直自体が成り立たなくなってしまいます。そうならないように、「ほとんど寝ているような当直は労働時間としてカウントしなくていいですよ」という逃げ道が設けられていて、これを宿日直許可というんでした。だから宿日直許可って医療だけの話ではないんですね。実は。

宿日直許可のある病院での宿日直については、日直が月一回まで、宿直は週一回まで認められます。なので、例えば7つの病院と契約して週2で日直に入り、同時に毎日宿直するとかいうことも可能になるわけです。まあ流石に極端ですけど。

理想的 ゆるふわな働き方

ゆったり勤務を謳っている医療機関は、たいていどこも宿日直許可を取っています。そうすると、そもそも時間外労働とかあんまり意識する必要がありません。

でも、宿日直の場合通常支払うべき賃金の3分の1以上で良いということになっているので単価はそんなに高くないというデメリットがあります。

なので、月2から週2くらいのペースで”あえて”宿日直許可のない病院で働くといいのかなあ、と考えています。宿日直許可の基準がギリギリ満たされなかった病院で、実際はゆったり勤務になっているような病院が狙い目だと思います。
当たり前ですけど、宿日直許可がない病院で普通の業務量だったらそれはもうゆるふわじゃないですからねσ(^◇^;)

おわりに

自分自身が何時間働けるのか?というところから気になって色々調べてみました。特にフリーランス医師(ただ非常勤で生計を立ててるだけの医師)が個人事業主だと勘違いしている記事が多くて大変でした。あと、960時間の上限が適用されるのかどうかを自分なりに結論出すのにも時間がかかりました。労働基準法と厚生労働省の説明を読んで導いたことなので仮に間違っていたとしても法定労働時間を守っておきさえすればトラブルには巻き込まれないと思います。

あと、医師の働き方改革のせいで医者の収入が減るという記事も気になっていました。ですが、ゆるふわ医師的には実際は多分そんなことにはならないと思います。今後ゆるふわ医師が増えたら競争は激しくなるので仕事が取ってきづらいということはあるでしょうけど。

そういうわけで、今後も安心してゆったり勤務を続けます(^○^)

最後までお読みいただきありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?