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ひとりで死ねるか

「緩和ケア医から、ひとりで死ぬのだって大丈夫」

奥野 滋子(おひとり様応援医)  朝日文庫

 筆者は、病気の患者から「死んだらどうなるの?」ときかれ、「死生学」を学んだという医師だ。
とても誠実に「死を目前にしている人」をケアしてくれる様子が感動的だ。
こういうお医者さんがたくさんいたら、「在宅・ひとり死」も可能だろうな、と思った。

「人はいつか必ず死ぬ」「限られた命」だからこそ、「今の命を輝かせよう」と思うのではないか、と言う筆者の言葉には、多くの患者の死を見守ってきたからこそ言える説得力がある。

「死生観を持つことが出来れば、『こんな人生でもけっこう幸せなんじゃないか』と振り返ることができるかもしれない。」

「ただそばに看取る人がいないという意味での孤独死は防ぐことが出来なくても、「無縁死」は防げるかもしれません。縁とは、「あの世」があるとかないとかではなく、人の心に記憶としてとどまるということです。死は確かにいのちの終わり、生の終わりかもしれませんが、存在の終わりではありません。」

「患者さんは、自分の最後が近いと知ると、本能的に今までの自分の過去、・・・さまざまな人にしてもらったことを思い出し、他者の世話になって生きてきた、ということに気づいたりする。」
「家族はぜひ患者さんの言葉に耳を傾けてください。それは患者さんのためだけではなく、むしろ遺される自分たちのためであることも少なくないのです。」
「死生学は人がいつか死ぬということを認めたうえで、どのような生き方をすべきかを追求する学問です。」

 今は、自分が義母を介護している立場だが、将来(?)、自分が一人で死ぬとしたら、どこまで、何がしておけるだろうかと考えてこの本を手に取った。
「死」を考えるからこそ、「生きている今を大切にしよう」と思えるのかもしれない。



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