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江戸時代のミニチュア…根付(ねつけ)が、一挙に展示 @東京国立博物館

東京国立博物館トーハクの展示品を見ていると、頻繁に「〜(名前)〜贈」と記されているものがあります。そうしたものに触れるたびに「なんて偉い人だったんだろう」とか「ありがたいなぁ」と感謝の気持ちが沸き起こります。だって、トーハクだって何でもかでも受け取っているわけではないはずです。収蔵されたということは、それだけの価値が認められたということ。もちろん税金対策などもあるんでしょうけど……それにしてもありがたいです。

現在、トーハクでは、そうした寄贈品をいつもよりも目立つように展示しています。なかでも「根付ねつけ」については、「郷コレクション」と「高円宮コレクション」が、それぞれ一室にまとめられて見られます。

高円宮コレクションについては、これまでも専用の個室が用意されていて、時々見ていましたが、もう一方の「郷コレクション」については、今回初めて知りました。

「郷コレクション」は、実業家の郷誠之助さん(1865~1942)が、昭和17(1942)年11月20日に、根付を中心とするコレクションを、東京帝室博物館に寄贈されたものだそうです。今回は、その中から江戸時代に作られた根付が展示されています。

根付とは、印籠や巾着、煙草入などを腰に提げるときに用いる留め具です。巾着などから伸びる紐にくっつけて使うもので、その根付を帯に引っ掛けて、巾着などが落ちないようにします。

解説パネルより

上の図解を見ると分かる通り、小さいものでは2〜3cmほどで大きなものでも10cmくらいです。視力の悪いわたしには、細部まで見られないのですが……こういう時のためにも、カメラを持っていると、少し助かります。展示室が暗いので、ほとんどの写真がブレてしまいましたが……。

『狂言木彫彩色根付』線刻銘「周山」・木彩色・江戸時代・19世紀・鄉誠之助氏寄贈
『法螺貝山伏牙彫根付』線刻銘 「正次」・象牙 鼈甲・江戸時代・19世紀・郷誠之助氏寄贈
『馬洗牙彫根付』線刻銘「蘭亭」・江戸時代・19世紀・郷誠之助氏寄贈
『鬼羅漢角力牙彫根付』線刻銘「鴇楽民(花押)」・象牙・江戸時代・19世紀・鄉誠之助氏寄贈
『阿福陶製根付』陽刻銘「万古」・陶製 江戸時代・19世紀 郷誠之助氏寄贈
『箱形菊蒔絵根付』針描銘「是真」・紫檀 漆塗・明治時代・19世紀 | 郷誠之助氏寄贈
『唐子牙彫根付』線刻銘 「一光斎孝実 (花押)」・象牙 | 江戸時代・19世紀 | 郷誠之助氏寄贈
『唐子牙彫根付』線刻銘 「一光斎孝実 (花押)」・象牙 | 江戸時代・19世紀 | 郷誠之助氏寄贈
上の根付を別の角度から撮影したものです
『象牙彫根付』線刻銘「芝山作」・象牙/ガラス/べっ甲/玉/金/銀/珊瑚/貝・江戸時代・19世紀|鄉誠之助氏寄贈
『農婦童牙彫根付』象牙 | 江戸時代・19世紀 |鄉誠之助寄贈
『猿廻木彫彩色根付』根来宗休作・木漆塗 | 江戸時代 ·18世紀 |鄉誠之助氏寄贈
『山姥金太郎木彫根付』小笠原一齋作・黄楊 | 江戸時代・18世紀郷誠之助氏寄贈
『馬上関羽木彫彩色根付』吉村崗工作・檜 彩色 | 江戸時代:18世紀 |鄉誠之助氏寄贈
『常盤牙彫根付』線刻銘「鴇陵民」・象牙 | 江戸時代 ·19世紀|鄉誠之助氏寄贈
『常盤牙彫根付』線刻銘「鴇陵民」・象牙 | 江戸時代 ·19世紀|鄉誠之助氏寄贈
上の根付を別角度から撮ったものです
『達磨陶製根付』線刻銘 「貞二」・陶製 | 江戸時代・19世紀 郷誠之助氏寄贈
猩々面しょうじょうめん木彫根付』線刻銘 「舟月作」・黄楊 | 江戸時代・18世紀 郷誠之助氏寄贈
『風神木彫根付』線刻銘「立川啄斎」| 江戸時代・19世紀 郷誠之助氏寄贈
『浦島牙彫根付』線刻銘「正広」・象牙 | 江戸時代·19世紀|鄉誠之助氏寄贈
『三宝荒神木彫根付』線刻銘「民谷」・木 | 江戸時代・18世紀 | 郷誠之助氏寄贈
『三宝荒神木彫根付』線刻銘「民谷」・木 | 江戸時代・18世紀 | 郷誠之助氏寄贈

上の写真の2倍以上の根付を撮りましたが、ピンぼけだらけで残念でした……。馬上の織田信長が戦っている様を彫った根付などは、迫力があって好きだったのですが……。

郷コレクションの、今回の出品目録(展示リスト)を見ると274個が出展されています。一つ一つ見て回ると、かなりの時間がかかると思いますが、さ〜っと見て回って、好みの根付を見つけていくのも楽しいです。また、わたしがそうなのですが、ミニチュアが好きな人にはたまらないコレクションだと思いますよ。

郷さんについて記しているnoteがありました。

Wikipediaを読むと、日本運送、日本メリヤス、日本鋼管、入山採炭、王子製紙の社長や取締役を歴任して各会社の再建を成功させていったそうです。その後は、東京株式取引所(現在の東京証券取引所の前身)理事長に就任するなど、経歴を見る限りではキレッキレな方だったんでしょうね(経歴詳細は分かりませんが、この人のパパがまたゴイスーだったようです)。

おそらく激務の続いた人生だったでしょう。たまにできた時間に、集めた根付を眺めて、いろんな空想をしながらリラックスして過ごしたのかもしれませんね。

<2023/01/19追記>
トーハクのYouTubeチャンネルに、研究員による郷コレクションの解説動画がアップされていたので、こちらに共有しておきます。

また見に行こうと思いました。

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