前田青邨が描いた東大寺・二月堂で行われている《お水取》…@東京国立博物館
「またあの作品が見たいなぁ」という、自分にとっての傑作が、東京国立博物館にはいくつかあって、3年前くらいに見た前田青邨さんの《お水取》も、そんな作品の一つです。
《お水取》は、奈良・東大寺二月堂で行われる仏教法会で、正しくは「修二会」や「十一面悔過(じゅういちめんけか)法要」というそうです。現在は毎年3月1日から2月14日まで行われるそうですが……何が行われるかといえば、二月堂の本尊である十一面観音に、けか……あやまちを懺悔して、あわせて除災招福を祈るのだそうです。
わたしは修二会について、あの火がぼぉぼぉと駆け巡る映像をニュースで見たことがあったかもな……という程度にしか知りませんが、この「お水取り」は天平勝宝4年(752)から、1273年にわたって、1回も欠かすことなく行われていきたのだそうです。
なんというか、関東で生まれ育ったわたしには1273年という時の長さを実感することがないのですが……この二月堂の修二会の話などを聞いた時に、奈良や京都で育った人たちとは、時間の経過の感じ方が異なるんじゃないかと思うこともあります。
前回、前田青邨の《お水取》を見たときには、二月堂の修二会のことなどを調べることもせず、ただただ作品を眺めて「なんかいいよね」という印象を持っただけでした。見ているだけで、なにかピーンと張りつめた雰囲気が伝わってきましたし、同時に、前田青邨の技にうなっていただけでした。
ところで、なぜ「修二会」が「お水取り」と呼ばれるのか? 「行中の3月12日深夜に、若狭井という井戸から、十一面観世音菩薩に供える若狭鵜の瀬から送られたお香水を汲み上げる儀式“お水取り”が行われます」と、東大寺二月堂のホームページかなにかに記されていました。
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