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前田青邨が描いた東大寺・二月堂で行われている《お水取》…@東京国立博物館

「またあの作品が見たいなぁ」という、自分にとっての傑作が、東京国立博物館にはいくつかあって、3年前くらいに見た前田青邨さんの《お水取》も、そんな作品の一つです。

《お水取》前田青邨筆|昭和34年(1959)|紙本着色
東京・平木浮世絵財団

《お水取》は、奈良・東大寺二月堂で行われる仏教法会で、正しくは「修二会しゅにえ」や「十一面悔過(じゅういちめんけか)法要」というそうです。現在は毎年3月1日から2月14日まで行われるそうですが……何が行われるかといえば、二月堂の本尊である十一面観音に、けか悔過……あやまちを懺悔して、あわせて除災招福を祈るのだそうです。

第5段「参籠宿所」

わたしは修二会について、あの火がぼぉぼぉと駆け巡る映像をニュースで見たことがあったかもな……という程度にしか知りませんが、この「お水取り」は天平勝宝4年(752)から、1273年にわたって、1回も欠かすことなく行われていきたのだそうです。

なんというか、関東で生まれ育ったわたしには1273年という時の長さを実感することがないのですが……この二月堂の修二会の話などを聞いた時に、奈良や京都で育った人たちとは、時間の経過の感じ方が異なるんじゃないかと思うこともあります。

第6段「湯屋」

前回、前田青邨の《お水取》を見たときには、二月堂の修二会のことなどを調べることもせず、ただただ作品を眺めて「なんかいいよね」という印象を持っただけでした。見ているだけで、なにかピーンと張りつめた雰囲気が伝わってきましたし、同時に、前田青邨の技にうなっていただけでした。

第7段「食堂」

ところで、なぜ「修二会」が「お水取り」と呼ばれるのか? 「行中の3月12日深夜に、若狭井という井戸から、十一面観世音菩薩に供える若狭鵜の瀬から送られたお香水を汲み上げる儀式“お水取り”が行われます」と、東大寺二月堂のホームページかなにかに記されていました。

第8段「行法を待つ参籠衆」
第9段「鈴をふる呪師」
第10段「お水取り(若狭井)」
第11段「松明をみる群衆」
第12段「松明登る」
第 13段「内陣の幕をしぼる堂童子」
第14段「達陀の行法」
第15段「社頭の終了報告」
第 16段「二月堂は明けゆく」



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