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カッコイイ浮世絵を見つけました。@東京国立博物館
土曜日に東京国立博物館(トーハク)へ行ってきました。今週(2023年10月3日)から浮世絵の部屋が展示替えされていました。そこで歌川国貞(三代豊国)が描いた《二代目荻野伊三郎の音川勝元》に、控えめに言っても“釘付け”になりました。なにこのカッコイイ浮世絵は! と、びびりました。もう江戸時代には、こういう絵が描かれていたのかと。
以下の作品は、別記がなければ、すべて東京国立博物館の所蔵です。
■歌川国貞(三代豊国)
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江戸時代 文久3年(1863) | 大判錦絵・田畑大蔵氏寄贈
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江戸時代 文久3年(1863) | 大判錦絵・田畑大蔵氏寄贈
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江戸時代 文久3年(1863) | 大判錦絵・田畑大蔵氏寄贈
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江戸時代 文久3年(1863) | 大判錦絵・田畑大蔵氏寄贈
歌川国貞さんは、先日のnoteで紹介した初代・歌川豊国さんの弟子。三代豊国を襲名し「美人画・役者絵の両分野で活躍し、作品には江戸の美意識“粋”が表現されています。(中略)浮世絵界最大の作画量を誇った人気絵師です」と、解説パネルには記されています。この方は、以前、東京都美術館で開催されていた『源氏物語と江戸文化』で展示されていた『偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)』の挿絵を紹介したことがありました。この歌川豊国は代々、ただものではなかったんですね……。すごいな。
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江戸時代文久3年(1863) | 大判錦絵・田畑大蔵氏寄贈
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江戸時代文久3年(1863) | 大判錦絵・田畑大蔵氏寄贈
三代の豊国が、晩年に錦昇堂から刊行された、「役者大首絵」シリーズ。制作当時に既に故人となっていた役者を含んでいるそう。こちらは写楽も描いた名優三代目沢村宗十郎……。当たり役の大星由良之助を演じる姿が描かれています。
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江戸時代文久3年(1863) | 大判錦絵・田畑大蔵氏寄贈
本当はもっとカッコイイ色合いなんですけどね……iPhone 12というか、わたしの写真テクだと表現できませんね……残念すぎる。
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江戸時代文久3年(1863) | 大判錦絵・田畑大蔵氏寄贈
ところで解説パネルには「本シリーズは、三谷長三郎の支援を受けて制作された」とあります。わざわざ記されている三谷長三郎って誰だ? と思って調べてみたら、江戸時代の1660年に創業して、神田塗師町(現在の鍛治町二丁目)で紀伊国屋という屋号で店を出していた、銅や真鍮を取り扱う……今でいう商社の旦那さんでした。代々が長三郎さんを名乗っていたようなので……もうややこしいですね。
だって、描かれているのが三代目の沢村宗十郎で、描いたのが三代目の歌川豊国……そしてスポンサードしていたのが三代目……ではないけど何代目かの三谷長三郎なんですもの。
ちなみに十代目の三谷長三郎さんの胸像が、神田神社の脇にある小さな公園に建っています。たまたま4月に、この公園で時間調整でひと休みした時に、誰だろ? と思って見上げたのを覚えています……奇遇だな……。像の制作は「長崎平和祈念像」の作者として有名な北村西望さん。
■6代目市川団十郎の「矢の根五郎」
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江戸時代 文化7年(1810)・板絵着色・東京 成就院
それほど大きな作品ではないのですが、ヌッ! と、迫ってくるような迫力があったのが、東京・目黒の成就院(蛸薬師)に奉納された《矢の根五郎図額》です。
こちらは、同じような構図の絵を所蔵する神奈川県立博物館の解説によれば、「曽我五郎が、父の敵、工藤祐経を討とうと矢の根(矢じり)を研いでいる場面を描いている。曽我狂言の一つで市川家の歌舞伎十八番として正月に演じられてきた。ここでは6代目市川団十郎が演じている」としています。
そう言われてみると、ゴリゴリゴリッと矢じりを研ぐ音が聞こえてきそうです。「この恨み、晴らしてくれよぅぞ」という念が全身から沸き立っているようにも感じられます。トーハクでは、暗いケースの中に、この作品だけがぽつんとスポットが当てられていて、よりいっそう不気味な雰囲気を演出がされていて、ナイスでした。
■名所絵八景や百景
現在、トーハクの浮世絵の部屋では、歌舞伎関連の錦絵のほか、「〜〜八景」シリーズが少しずつ展示されています。
まず喜多川歌麿の「名所腰掛八景」。腰掛とは、茶室の外の露地にもうけた休憩所のことを言うそうです。歌麿が描いたのは、もちろん茶室ではなく、もっと怪しい茶屋の腰掛……で給仕をしていた美人や看板娘たち。8枚のシリーズのうち、《浪の花》と《髪結い》が展示されています。
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江戸時代・18世紀・大判錦絵
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江戸時代・18世紀・大判錦絵
歌川広重の《名所江戸百景》のうち、《蓑輪金杉三河しま》、《猿わか町よるの景》、《請地秋葉の境内》3枚も見られます。
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江戸時代 安政4年(1857)・大判 錦絵
普段見ている場所が、江戸時代にはどんな景色だったのかを浮世絵で見るのは楽しいですよね。《蓑輪金杉三河しま》……江戸時代までは、人名もですが地名も、漢字の当て方がかなりいい加減……「箕輪」は現在は「三ノ輪」であり、「三河しま」は「三河島」。「金杉」は、江戸時代の後期には、江戸琳派の酒井抱一や鈴木其一、浮世絵師の北尾重政などが暮らしていた場所です。現在は、住所としては残っておらず、町会名や通りの名で見られるのみです。
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江戸時代 安政4年(1857)・大判 錦絵
《猿わか町よるの景》は、江戸時代後期に浅草にあった芝居町です。中村座、市村座、森田座の歌舞伎小屋などが密集していました。特に中村座が、年末になると浅草エリアに仮小屋を建てて公演していますが……今年はどうなんでしょうね? いずれにしても、今でも浅草を大切にしているのは、嬉しいことです。
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武蔵国と下総国を分ける場所でした。元々は武蔵側……現在の両国の対岸……が両国と呼ばれる地域だったとのこと。それが1686年(諸説あり)に、隅田川の西側も武蔵国に編入され、両国橋が架けられました。そのあたりから両岸とも「両国」と呼ばれるようになり、東側が優勢になって現在には完全に、東側が両国となっています。
この《両国橋夕照》では、東西がよく分かりませんが……画面中央にある小さな橋が「柳橋」のような気がします。とすれば、奥が西で現在の浅草橋付近で、手前が両国となります。
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上の画像の右上にある小さな橋は「柳橋」ですかね…。櫓(オール)を漕いでいるのも、左側(南)から右側(北)へ向かう舟が多いような気がします。
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現在の両国の方が賑わっているような雰囲気で、店が立ち並んでいます。
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■
他にも様々な浮世絵もですが、広重の肉筆画なども展示されていて、今回の展示替えで、かなり魅力的な内容になっています。まぁでも今回は、最初に挙げた歌川国貞(三代豊国)の絵に、かなり衝撃を受けました。すばらしいなぁ。
ちなみに下が歌川広重の肉筆画《東都御殿山・待乳山図》です。
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