見出し画像

踏み切り待ちで

日が傾いた道を車で走る。

踏み切りの遮断機が下り、
電車が通り過ぎるのを待つ。

待ってる間、

左手を見ると、
何かの店の小さな庭で、
手作りの回り灯篭が、
クルクルと回ってる。

空き缶で作ったものらしい。

縦にくの字にぐるり、
キレイに切れ込みがしてあり、
くの字に風を受けて、
クルクル回る。

踏み切り待ちで
ボンヤリ眺めてると、

何故だか胸が、
少しく痛む。

子供頃見た回り灯篭。

お盆の季節に必ず出され、
クルクルと、キレイに回る。

玄関には大きな提灯を下げ、
仏壇には線香をあげる。

煙が部屋を巡り巡り、

線香の香りが
ほのかに漂う。

夕暮には
近くの林から、
ひぐらしの声がとどろく。

日暮ひくれて
田んぼに行くと、
稲の間を、蛍が舞う。

あたりは、
カエルの鳴き声が
あふれてる。

そんなことを
思い出してると、

”行っていいよ。”

といわれたように、
踏切の遮断機が上がる。

僕は車を走らせた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?