オタクは『三角の距離は限りないゼロ』について語りたい

こんにちは、はこぴです。最近は学生最後のモラトリアムをどう満喫するか悩んだ結果ラノベとノベルゲーにリソースを費やしてます。非常に不健全です。さて、直近読んで大変面白かったラノベがあり、テーマ的に自分に刺さったので紹介します。『三角の距離は限りないゼロ』です。

著者は岬鷺宮先生で、イラストはHiten先生です。現在7巻まで刊行されており、次巻8巻で完結する事が7巻のあとがきでアナウンスされています。本noteでは致命的なネタバレをしませんが、魅力を伝えるために多少のネタバレを行います(基本的には1巻と2巻冒頭までの内容)。ご注意下さい。

あらすじ

一人なのに「二人」な君と誰でもない僕の、トライアングルラブストーリー。

『このライトノベルがすごい!2019』(宝島社 刊)文庫部門 新作3位獲得の、いま一番切なく愛しい三角関係恋物語。
僕と「彼女たち」の不思議で歪な三角関係。その距離はどこまでも限りなく、ゼロに近づいていく――。

人前で「偽りの自分」を演じてしまう僕。そんな僕が恋したのは、どんなときも自分を貫く物静かな転校生、水瀬秋玻だった。けれど、彼女の中にはもう一人――優しくてどこか抜けた少女、水瀬春珂がいた。
一人の中にいる二人……多重人格の「秋玻」と「春珂」。彼女たちの秘密を知るとき、僕らの関係は不思議にねじれて――これは僕と彼女と彼女が紡ぐ、三角関係恋物語。

Amazon.co.jpより引用


本作品の魅力

三角関係ラブコメ+二重人格

ラブコメで三角関係になることはよくあると思います。正直。しかし、今回はその三角関係の相手が、同一の体を共有してる2つの人格という所がこの作品のミソだと思います。

通常であればどちらか一方を選ばなければならないのですが、二重人格という性質上、それらが統合される可能性もあるわけで。正直終着点が7巻まで読んでいる僕にも分かりません。秋玻を選ぶのか、春珂を選ぶのか、それとも…。結末が最後まで分からない物語はやっぱりワクワクしてしまいます。


挿絵が良い

めっちゃありきたりなんですけど、Hiten先生の描くキャラがこの作品の雰囲気にマッチしてるように思います。透明感を感じさせつつ、どこかに儚さ/切なさを含んでいるような…

一番好きなのは6巻の扉絵4枚目です。前後のストーリーも含めて最高です。


キャラの心情描写

主人公の矢野四季に大きくフォーカスされています。色々考えすぎて自意識の塊みたいになっていますが、ヒロイン2人(?)の間で揺れ動く感情を余すことなく表現しています。

特に葛藤するシーンは多く描かれており、物静かな"秋玻"に恋をしたのに優しくてちょっと抜けた"春珂"にドキドキしてしまい罪悪感を覚えてしまうシーンや、性欲と理性の狭間で揺れ動くシーン(!)などなど常に悩みを抱えています。

この辺りの描写がしっかりされている為、主人公の矢野くんと一緒に読者である私たちもヒロインに対する感情を共有できるのではないでしょうか。


誰もが抱える普遍的なテーマ

あらすじで誰でもない僕ってあるように、人によって自分を演じ分けている事に違和感を抱えてる主人公。過去のトラウマによってそう演じないと自分のことを周りの人は受け入れられないんじゃないかという恐怖。結局本当の自分って何だろう。これをずっと追いかけていくことになります。

このテーマをシリーズの軸に据えており、非常に考えられるストーリーになっています。各キャラが何を経験し、どう考えるようになったのかの変遷を丁寧に追っていける部分が個人的には刺さりました。

このあたり、一度は考えたことがある人は多いんじゃないかと思います。例えば、あまり明るい人間ではないのに、就活の面接ではさも明るいかのように振舞うといったような。
僕は人格なんて二元論ではなくグラデーションだと考えているので、自分の無理のない範囲で相手に合わせられればいいかなと思っています。しかし、そう考えられるようになったのも大学入って自分としっかり向き合ってからなので、高校生のうちでどうしたらいいかっていうのは正直難しいように感じますし、それに正面から向き合えるのは正直にすごいと思います。


ヒロインの魅力を最大限に引き出すシチュエーション

シチュ萌えなんて言葉がありますが、久しぶりにそれを作品で実感しました。作者の感性と自分の感性が似てるのか(作者は自分が読みたい作品を書いているって言ってるしね)、その良さを享受できる自分は幸せ者だな~~~と喜びをかみしめていました。


(微ネタバレ注意!)


「わたしがいなくなったあとも、矢野君だけはわたしのことをずっと覚えてて、ときどき寂しがってくれるといいなって思ってる。一生そうであってくれればうれしいし……それだけあれば、十分わたしは幸せかなって……」

岬鷺宮.三角の距離は限りないゼロ(電撃文庫)(pp.213-214).KADOKAWA/アスキー・メディアワークス.Kindle版.

「……なにか、欲しい」「なにか?」「その……わたしと、矢野くんが……恋人同士になったって、実感できる物……欲しい」「……ああ」 
(中略)
 そして、たっぷり数十秒ほども黙ってから、秋玻はじっと前を見たまま──消え入りそうな声で、こう言った。
「……キスしたい」

岬鷺宮.三角の距離は限りないゼロ2(電撃文庫)(pp.12-13).株式会社KADOKAWA.Kindle版.

本当はもっと好きなシチュエーションがあるのですが、重大なネタバレになってしまうのでこの2つを紹介しました。この作品は女の子の方がぐいぐい踏みこんできますし、承認欲求を隠しません。付き合う事はゴールではなくてスタートなのです。いいね!こんな感じのシチュエーションが大好き!って人には手放しでオススメできます。矢野くんはちょっとだけヘタレだし鈍感かもです。自分の心を守る側面もあるからしょうがないんだけどね。


作者の他作品とのクロスオーバー展開

僕は作者の他作品は、「日和ちゃんのお願いは絶対」と「読者と主人公と二人のこれから」しか読んでいませんが、後者の作品は2巻を読む上で読んだ方が良いと思います。細野と柊というキャラが2巻では登場しますが、その2人をメインに据えた物語となっています。

僕は読んでないですが、他の作品からのキャラも登場しているようです。機会があれば読んでみたいですね。


毎巻のラスト展開

商売上手なのかは分かりませんが、毎巻ラストの引きがとても上手です。大体ここで終わってしまうのか!!!って叫んでました。ちなみに1巻のエピローグ名は「1/2のキス」です。一体何が起きたんでしょうかね…

ちょっと後の話をすると、7巻のラストもとんでもないタイミングで幕切れになっています。僕はてっきり7巻で完結すると思っていたので今めっちゃ焦らされてます。早く8巻を読んでこの感情から解放されたいです。

悲痛な叫び


最後に

この記事を読んでちょっと面白そう…って思ったけど、新しく買うのはハードルがちょっと高いかもって思った人もいるかもしれません。そんなあなたに電撃ノベコミを紹介します。

所謂漫画アプリみたいな感じで電撃文庫のノベルを読むことが出来るアプリです。確か今5巻ぐらいまでは読めるようだったので、まずはこれで読んでみてそれで良かったら購入してみたらよいと思います。ちなみに、本作のコミカライズも読めます。


2022/6/19追記

8月に8巻が発売されるぞ!!!!!!!!!やったね!!!!!!

2023/02/04追記

4月にアフターストーリーの9巻が発売されるぞ!!!!!!!!
絶対甘々イチャラブ作品だろ!!!NL大好きマンなので期待しています岬鷺宮先生。


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