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音のない雨(6)

こんな夜には、
何も視たくない。
何も訊きたくない。
何も云いたくない。
何も感じたくない。
何も考えたくない。
何もかもが無意味に思える、
こんな夜には。

こんな夜には、
笑いたくない。
泣きたくない。
食べたくない。
飲みたくない。
眠りたくない。
心も体も怒りに支配されている、
こんな夜には。

明日は来るのだろうか。
明日には何か変わるのだろうか。
人々はなぜ、
明日が来ることを当然だとしているのか。
わたしが明日が来たことを実感できるのは、
燃える朝焼けを、
左に傾いた視界で捉えたときだけなのに。

こんな夜には、
何ひとつ決めてはいけない。
何もしないことこそが安全。
衝動をいなすことに集中する。
それをわかっていることが、
こんな夜の、唯一の救い。

歯を食いしばっても、
叫びだしそうだ。
わたしには、何も無い。
助けてはくれまいか。
助けられもしない人に、
助けを乞うた間抜けのわたし。

こんな夜には、
歌を歌おう。
だって、死んだら歌えない。
月をご覧よ。
だって、死んだら見られない。
夜風にあたろう。
だって、死んだら感じられない。
いつにも増して死を意識する、
こんな夜には、
いつにも増して生を意識しているのだから、
星を数えてみたら良い。

一生かけても終わらない。
わたしはどれだけの星を見るだろう。
数えるだろう、知るだろう。
わたしは死ぬまでの間に、
どれだけの夜を、
こんな風に過ごすだろう。

こんな夜には、
詩を綴ろう。
こんな夜を過ごしただけ、
頁が進む。
こんな夜を越えて生きた、
証が残る。

夏が近づいているよ。
わたしの知らない、
金網、碧い海、珊瑚、ジュゴン
裸足で逃げる、裸足で踊る。
この期に及んで、何もできない。
赦しを乞う。誰に? あなたに?
わたしはわたしに赦されたい。

誰が為の贖罪?
誰が罪を償う?
ああ、夏が来る。
それでも、夏は来る。


体調が良くないのです。
現実感がないのです。
ただ、現実感がないからといって、
何もかもが無意味に思えるからといって、
何もしないことはわたしの利益になるだろうか。
現実だと到底思うことができなくても、
恐らく、ここは現実で、
現実であると仮定して、
例え、現実じゃなかったとしても、
わたしに不利益はないだろうし、
もし、もしも現実であった場合、
しないほうが勿体無いんじゃないかなあ、と。

夜まで、夜寝るまで、
正確にはベッドに転がるまで、
わたしは今日はしたかったことは何もしてない。
したいこと=すべきこと、という幸福な状態で、
それらをしなかったことに罪悪感を覚える。
ただ、現実感がないという、
たかがそれだけのことで、
何もかもが無意味に思えてしまって、
何もかもを刷る気が起きなかった。
けど大丈夫。
仮定したから。これは現実だって。
だから、明日にはきっとマシになれる。

「羨ましい」って、言われるのキツイな。
わたしの抱えているもの全部話したら、
その人は「羨ましい」と言わなくなるだろうに。
わたしは母にコントロールされて、
話さないしか選べない。
羨ましいを連発する人を前に、
怒りがふつふつと湧く。
それでも、わたしはその人のことを、
ちっとも羨ましく思わない。

「あなたにはわからない」と言われて、
「わたしにはわからないと決めつけたあなたは、
わたしの何をわかったつもりでいるの?」と。
どうせ届かない言葉をしたためる。

いろんなことが、
男児は男性だとする単身女性の過激な言動にも、
苦しかった。
わたしは子どもである男児を、
子どもという括りではなく、
男という性別の括りでしか見ない大人の言動が、
不快だった。
子育てをしたことがない人は、
何も知らないで話しをしいるから的外れで、
育児経験皆無での無理解を指摘されると、
怒り出すとか意味がわからない。
しかも揚げ足取り。
男尊女卑社会であるからの女性の困難を、
女性同士で争って、馬鹿みたい。
敵は同じはずなのに、それも見えてないのかな?
敵を間違えてることも理解できないの?
それとも目先の利益だけに囚われてるの?
(言い換えれば、目の前のことから着実にかな)
でも、根本が変われば全て解決。
根本が変わらなければ解決はない。
違うかな?


なんかね、疲れた……。
疲れちゃったよ……。
少しだけ、少しだけ、休みたい。
休みたくないから、休めない。
ホルモンバランスのせいかな……。
憂鬱で仕方なくてさ、
泣きたいな。泣けないな。
泣き方がわからない。


そんなこんなを、わたしがしている間に、
沖縄戦の日とかになっていたと、
わたしの頭の中にはそんなにも大変な事柄も
ない状態でいたんだなって、
きっとここのところ、
キャパオーバーでこなしていたこと。
現実では3つの被害届や、
就労についてや、
母と世帯分離して一人で暮らすことや、
まだ降りない分の通院費のことや、
障害支援区分についてや、その他諸々や、
友達のことや、その他諸々。
ネット上でも、あれやこれやそれや。
抱え込みすぎてたよなって、今ならわかる。
けど、どれをしない選択があった?
どれをしないことをわたしは許せた?
だからどうしようもなかったのかな。

けど、優先順位を決めるしかない。
わたしはすべてをこなせない。
それがわかった。
後学のためになったじゃんって。

ああ、助かりたい。
わたしは、いま、助けがほしい。
わたしが助かりたい。
わたしを助けてほしい。

死にかけて必死で得た福祉。
死にかけながらようやく得た。
でも、死にかけながら自分で手続きしたこと、
わたしが大丈夫そうに見えなかったら、
そんな風にはされなかったかもで、
けどわたしが自力でやったから、
今の形があるわけで、
制度の枠組みとして仕方ないけど……。
疲れちゃったよ……。

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