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あなたなら、利用者が落としたカバンを拾いますか?

僕はデイサービスという介護施設に勤務しています。
介護サービスの目的は、「利用者の尊厳を保持しながら、自立を促すこと」です。

今回の記事のテーマ「自立」になるのではないかと思います。
介護分野における、自立とは自分でできることは、できる限り自分で行ってもらうということです。

“ただ”お手伝いするのではなく、どの部分にサポートが必要になるかを考えながらサポートする必要があります。

今回の話題は、タイトルにあるように、「落ちたカバンを拾いますか?」になります。

先日、デイサービスに勤務している時のことです。
ある利用者さんが、ご自分のカバンを床に落としてしまいました。
この時、私は利用者さんの隣の席に座っていて、見守りをしていました。
しかし、他の職員がすぐさま駆け寄り、カバンを拾ってあげたのです。

はたして、この対応はよかったのでしょうか?

私にはいくつかの選択肢が浮かんでいました。

・見守る(待つ)
・カバンを拾ってあげる
・カバンを拾うサポートをする

この中で、私が選択したケアは、カバンを拾わず、見守りをするということでした。
その判断をした理由として以下の2つの理由があります。

・カバンを拾う時のしゃがみ込む能力がある
・自分で助けを求めることができる

利用者さんの自立を促すということを考えると、私は手を差し伸べることが良い選択ではないという判断をしました。

もし、しゃがみ込めない方であれば、サポートする必要があると思います。
意思疎通ができる方であれば、「拾ってくれませんか?」という言葉を待つこともあるかもしれない。

もし手伝いが必要であれば、自分で周りのリソース(福祉用具、スタッフ、他の利用者等)を活用できるかも重要なアセスメントとなります。

これは、私“の”考えです。
正しいかどうかはわかりません。
実際に利用者に何も不都合は出ていません。
むしろ「ありがとう」と喜ばれていました。

しかし、サポートする側は、どのような選択肢が浮かび、どのような理由を持ってケアをしているかは非常に重要なことではないかと思います。

何も考えずに、カバンを拾ってしまったのであれば、お手伝いになってしまいます。

介護士として“待つ”ということも大切なケアです。
ただ、呆然と待つのではなく、利用者さんの様々な背景や文脈を考えながら、“戦略的に待つ”ということです。

「なにもしない」という選択肢を持てるようになると、ケアの幅も広がるように感じます。

介護は奥が深いです。
まだまだ極めていきたい分野ですね。

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