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色の話【「春色」とはなにか】

 春を通りこして、暑さと湿気もただよう4月。
 それでも花は戸惑いながら咲き、二十四節気でいうなら、春分を経て4月4日に清明の時季に入りました。
 「清明」は花が咲き、生き生きとし始める季節だそうです。

 松田聖子さんの『赤いスイートピー』に「♪春色の汽車に乗って」という歌詞。詩的な情景の中を走る「春色」。「色」と言われたらついつい気になってしまう性質なので、ちょっと調べてしまいました。

 1982年にリリースした「赤いスイートピー」は作曲・呉田軽穂(松任谷由美さんですね)、作詞・松本隆 この詞の中の「春色の汽車」は湘南電車の車体カラーのイメージだそうで(Wikipediaより)つまり「緑」と「橙」に塗装された車体のイメージがそれということになります。
 検索してみると現在では車体の色も変わっていますが、曲ができた当時はかなり深い「緑」と「橙」。

 じゃあ春の色とは?

 信号の色を「緑」と呼ばず「青」と呼んでいること、少々疑問を持ちながらもそれを受け入れて育った民族、それが日本人。
 日本は古来から「緑」を含み「青」も「青」と呼んできました。青菜、青葉、青のり... ただ信号に関しては、その呼ばれ方の成り立ちに諸説があり(本来は緑信号と呼んでいた、とも)ながら、それでも青信号と呼ぶことがしっくりしてしまったのは、その「緑」も「青」と呼ぶ文化の流れなのかもしれません。
 青々とした、など草木の色がイキイキと変化する色を春の色としたのも自然ですが、元は、中国神話である四神相応や陰陽五行の色との関連にも繋がっています。

 京都や札幌の街の造成のもとにもなっている四神相応で考えると「青」、「朱(赤)」、「白」、「黒」、「黄」に対し季節や方角が結びついています。「春は青」=「青春」の語源でもある「青」は「緑」を含む色も総称しています。夏は赤、秋は白、冬は黒。そして最も高貴な色は「黄」であり、四季でいうなら「土用」の時季とされています。

 そして現代はパーソナルカラー診断においても、肌の色みイエローベース、ブルーベースに対し「四季」の色を用いていて、「春」に相当するのはふんわりとした明るい色み。茶色でも柔らかな雰囲気を帯びています。

 色と四季についてはまだまだ細かい話もありますが、さて「春色の汽車」・湘南電車。こちらはパーソナルカラーでみれば、かなりの「秋色」「冬色」。深みがしっかりある「緑」と「橙」でした。
 しかし、作詞者松本さんは、それが春の情景を走っていたというイメージから歌詞をおこされ、それを受け止めた我々はそれぞれに春の色をした列車を感じた訳で「個々の記憶の中にある春」の色こそが「春色」なのだろうかと思うのでした。

 北海道はまだまだ春のはじまり。
 雪が溶けて、蕗のとうの話もちらほら。新緑のそれもまた春の色です。





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