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塩麹の製造方法と効果 -発酵の基本知識-㊹

塩麹の製造方法

塩麹は、米麹と塩と水を混ぜて一週間から十日ほど発酵・熟成させることで完成します。

同じように醤油麹も米麹と醤油を混ぜ、発酵熟成させることで完成しますが、タンパク質やその他の成分が醤油に含まれていることから、塩麹よりも熟成に時間がかかります。

麹の分解の速さは、熟成場所や気温などによって異なります。
また季節によっても違いがあり、夏の方が分解スピードは速まります。
冬であっても熟成場所の温度が高い場所では冷暗場所に比べ分解スピートは速くなります。

塩麹を仕込み、完成までの間、1日1回撹拌することで酵素が活性化させ、糖化発酵が進み分解を促進します。
また、発酵ムラをなくし、分解を均一にさせる効果もあります。

米の粒が指で潰れる位になれば完成の目安で、およそ半年程は常温保存が可能となります。

冷蔵庫で保管することにより、より分解はされにくくなり、発酵のスピードも弱まります。


塩麹の塩分濃度

自家製の塩麹を作る際の注意点として、塩分濃度を12~15%に保つ必要があります。

塩分濃度が12%を下回る場合、塩の防腐効果は弱まり雑菌が繁殖しやすい環境となり、保存性が弱まり、腐敗しやすくなります。

漬け床として利用する場合も、他の食材が混ざることにより塩分濃度が下がると同様に腐敗しやすくなります。

その反面、塩分濃度が15%以上を上回る場合は、麹菌の生成する酵素が失活しやすい環境となり、酵素活性による分解が望めなくなります。


塩麹の効果

  • 減塩効果
    糖化による酵素の分解により、ブドウ糖とアミノ酸が生成され、甘みとうま味を持ち合わせた塩味調味料となります。塩のみで調理するよりもうまみ成分が多く、塩分を控えた調理方法でも十分に効果があり、減塩対策に有効です。

  • 肉や魚などの食材を柔らかくする
    肉や魚を塩麹や醬油麹に漬け込むことで、タンパク質分解酵素がはたらき、肉や魚を柔らかくします。油の部位が少ない肉などにはこの方法が有効で、余分な脂肪を排除しながらも、うまみを増やし、食感が柔らかくなるため、高齢者向けやダイエット中の食事のメニュー作りに役立ちます。
    鶏肉などには、独特な臭みを消す効果があり、唐揚げなどあらかじめ下味をつけておくことで、肉を柔らかくしながらも、臭みが消え、下味がつくので重宝します。
    また、下味をつけたまま、冷凍保存が可能で、使用する際は冷蔵庫内で自然解凍させるか、汁ものなどには細かく切ったものであればそのまま利用することができます。
    冷凍したものを解凍せずに調理しても固くなりにくく、時間がない時の調理に大変役立ちます。

  • 食材に漬けこむことで、異なる風味を生みだす
    豆腐などに塩麹を漬けこむと、大豆のたんぱく質が分解され、熟成されたような風味を持ち、チーズのような風味をもった深い味わいに変化させます。
    乳アレルギー対策や、ベジタリアン向けの料理などにも使え、栄養価も上乗せされた効果が得られます。

  • 野菜がもつうまみと組み合わせることで出汁がなくても調理が可能
    トマトなどのうま味の多い野菜などに組み合わせることで、出汁がなくても十分にうま味を感じることができます。忙しい朝などのスープなどに使うことで時間も節約でき、栄養もとるこができます。

  • ドレッシングやつけだれに
    そのまま使用するもの美味しくいただけますが、油や酢、甘酒や醤油などと組み合わせてドレッシングやつけだれに使うことで、より味わい深くなり、食材のうま味を引き出します。混ぜるだけで化学調味料や添加物なども使用しない安心で安全なドレッシングやたれを簡単に作ることができます。

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