近所のニホンカモシカが子供を産んだ
先日、近所のニホンカモシカが子供を産んだ。
ちなみに、ニホンカモシカとは、ウシ科カモシカ属に属する日本固有種の動物である。1955年に特別天然記念物に指定され、今では保護対象となっている。
家の近くにニホンカモシカたちが住んでいて、よく草を食べに敷地内にやってくる。
なかでも、一番顔なじみの「かも吉」というメスのニホンカモシカいるのだが、先日赤ちゃんとパートナーを連れてやってきた。
ちょうど一年前も「かも吉」は子供を産んで、ずっと家の敷地内に子供と一緒にごはんを食べに来ていた。
ニホンカモシカの子連れは、めったに見ることはできない。だから、ニホンカモシカが子育てする姿を見られるのは、去年が最初で最後だと思っていた。
ところが、今年も「かも吉」が堂々と子供をこえてやってきた。6月に入ってから一週間以上ニホンカモシカたちの姿を見なかったので、不思議に思っていたのだが、どうやら出産をしていたらしい。
しかし、「かも吉」が妊娠していたことに全く気がつかなかった。もともと大きな体をしているせいか、おなかの膨らみの変化も分からなかった。
そして、出産する直前まで、いつも通り家の敷地内に来て草を食べていた。妊娠すると、ニホンカモシカでもナーバスになるものだと思い込んでいたが、かも吉は神経質になるどころか、私がいても相変わらず堂々と食事をしていた。
だから、一週間ぶりにみた「かも吉」が赤ちゃんとパートナーをつれてやってきたときは、おったまげた。
しかも、「かも吉」と一緒に来たパートナーらしきニホンカモシカは、去年一緒に来ていたパートナーと別の個体だ。
去年生まれた子供である「かもジュニア」は、「かもゆき」という黒っぽいオスのニホンカモシカと一緒に家の敷地内にきていた。
「かもゆき」が「かもジュニア」の面倒を見ているところを目撃したので、「かもゆき」が「かもジュニア」の父親であることは間違いはずだ。
しかし、よくよく考えたら、「かもジュニア」と「かもゆき」は体の色が違う。
「かもジュニア」は全体的に白っぽくて、「かもゆき」は黒っぽい。でも母である「かも吉」は茶色っぽい色をしている。
つまり、「かもジュニア」の体の色は、母親である「かも吉」とも父親である「かもゆき」とも異なっている。
では、今年生まれた赤ちゃんはどうかというと、この子は黒っぽい色をしている。一方、先日一緒に来ていた父親らしきニホンカモシカは、白っぽい体をしている。
どちらかというと、今年生まれた赤ちゃんは、「かもジュニア」の父である「かもゆき」に色が似ていて、去年生まれた「かもジュニア」は今年「かも吉」が連れてきたパートナーと似ている。
これは、いったいどういうことだろう。
オスに関しては、生みの親が育ての親とは違うということなのだろうか。
家族関係はよく分からないが、とりあえず、「かも吉」が連れてきたパートナーには「しろまる」という名前をつけた。
なぜ「しろまる」かというと、体が白っぽくて、尻尾が横から見ると丸っぽく見えるからだ。
生みの親かはわからないが、少なくとも赤ちゃんは「しろまる」に懐いている。最初に家族で家に来たとき、赤ちゃんは「しろまる」の背後にくっついていた。
そして、「かも吉」と「しろまる」は交替で草を食べに来ている。「かも吉」と「しろまる」は連携をとりながら子育てをしているらしい。
先日は「かも吉」と赤ちゃんが一緒に草を食べにやってきた。去年はここまですぐに私たちに赤ちゃんの姿を見せてくれなかったことを思うと、今年は赤ちゃんを見れて嬉しい。
今年生まれた赤ちゃんは、「かもジュニア」よりもマイペースだ。私たちがいるなかでも、お乳を飲んだり、ちょこんと座ったり、勝手に歩き出したりしている。
そして、私たちを見かけると、正面からこちらをじいっと見てくる。私たちの存在が不思議なのだろう。一年前、まだ赤ちゃんだったころの「かもジュニア」も、同じような反応をしていた。
でも、いまや「かもジュニア」は私たちの存在に慣れて、一匹で草を食べに来るようになった。
近所のニホンカモシカの子供は独り立ちのスピードが速い。今年生まれた赤ちゃんも、どんどん成長していくのだろう。
ニホンカモシカの赤ちゃんを見るのは「かもジュニア」で最後だと思ったので、「ジュニア」と名付けてしまったが、愛着があるので名前は変えずにいこうと思う。
一方、今年生まれた赤ちゃんの名前は、まだ決まっていない。もう少し観察してから名前を決めようと思う。
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