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未来にタイムスリップしたら「失礼なやつ」と怒られるかもしれない

ウチの奥さんが山梨県で買い物をしたとき、店の人から
「いま、お釣りくれてやる!」
と言われて驚いたと言ってました。

言うまでもなく、このくれてやるは方言。
お店の人としては、単に「渡しますね」という気分で使っています。

・敬意逓減の法則

言葉には「敬意逓減の法則」と言われる性質があります。
(敬意漸減、敬意低減ということもあります)
丁寧な言葉が、使われて普及するにつれて特別感が減り、普通の言葉になってゆくことを言います。

代表的なのが「君」とか「貴様」。
「君」は君主を指す言葉でしたが、今では普通の二人称。
「貴様」に至っては、「あなたさま」という尊称だったのが、罵倒語になるという零落ぶり。

・さて「くれてやる」は

調べてみると「くれてやる」は、静岡県あたりから東北にかけて、普通に使われているようです。

方言が都を中心に水の波紋のように広がるという話(方言周圏論)から考えると、比較的古い言葉でしょう。

で、その頃はきっと、今のような上からの言葉ではなかったはず。
山梨で奥さんが会った人は、敬意逓減の前の状態を保存してたんですね。

・もしタイムスリップしたら

敬意逓減の法則は、今も止まっていません。

私自身が実感しているのは「あげる」ですね。
子供の頃、犬猫の餌や、花の水は「やる」でした。
いつの間にやら「あげる」が当たり前になっていました。

これからも進んでいくと、今の敬語も気がつくと罵倒語になっているかもしれません。

もし、タイムスリップや人工冬眠などで何十年、何百年も未来に行ったら。
「ありがとうございます」
とか
「お疲れさまです」
と言った途端に、ムッとされる可能性もあるわけです。

タイムスリップする予定のある人は、言葉にも気をつけてください。
…ないか。


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