ウイスキーにたどり着くまで
午前1時20分。
やめときゃいいのに、ウイスキーに手を染めてしまった。
子供たちを寝かしつけようと一緒に布団に入ったのが21時。予想はしていたが、やっぱりそのまま寝てしまったのがいけない。
それから起きたのが確か23時頃だっただろうか。まだ散らかしたままの部屋と、まだ洗ってない顔だけはなんとかしなければ。
そう思って、ふらふらしながら頑張ってリビングまで来たけれど、そのままソファに沈み込んで二度寝。二度寝って言うのかしら?この場合も。
配偶者の気配を感じて目を開けた。それが確か0時頃だったか。
何時に帰ってきたのか不明だが、彼は既に風呂も済ませたようだった。「ソファーじゃなくて布団で寝なよ」と声をかけてくれた。
私もできる事ならそうしたかったが、まだ顔を洗っていないし歯も磨いていない。
キッチンに置きっぱなしの子供たちの水筒も洗わなければ。次男の泥だらけの長靴も洗いたい。
洗ってないものだらけだな。
毎晩だいたい色んなものを「洗う」ミッションをクリアしなければ寝られないんだ。主婦ってそうなんだ。それが今日は異常に面倒くさくてソファーに身を沈めているんだ。
そうだ目薬。目薬もまだだった。
私は一昨日からなぜか結膜炎になってしまったから、1日4回、2種類の目薬をささなければいけない。
この2種類ってのがなかなかクセモノで。
①をさした5分後に②をさしてくださいってことなんだけど、5分後にさせた試しがない。
5分の間にすっかり忘れてしまう。
思った以上に②のことを忘れてしまうんだ。
だって5分間じっと待ってるわけにはいかないから、5分の間にアレを済ませておこうとか、コレやってるうちに5分経つだろうとか、そういうことを始めてしまうわけで。
そしたら、その流れで「あ、じゃあアレもやんなきゃ」「そうだそういえば先にアレやるつもりだったんだわ」とか、そういうのがいくらでも出てきて②の目薬のことなんか速攻で忘れる。
気づくのはだいたい、①を目に垂らした1時間後ぐらい。自分にガッカリしつつ、(まあ1時間後になっちゃったけどちゃんと思い出しただけ偉いじゃん)と無理やりポジティブに片付ける。
無駄に自分を責めない。
心身ともに健康でいるためのお約束だ。
ソファーに倒れたまま、すごく眠い頭で目薬のことを思い出したらめちゃくちゃ面倒くさくなった。
このまま寝たい…
全部ほったらかしてこのままソファーで寝たい…
グダグダと葛藤していたら、私に「布団で寝なよ」と注意してきた配偶者がソファーの反対側でイビキをかきながら寝始めた。
いやいやいや?アナタこそ布団で寝てくれよ。
私には、顔を洗うとか水筒を洗うとか長靴を洗うとか目薬を2種類さすとか、いろいろミッションがあるから、「やりたくねーなーめんどくさいなー」という怠け心と戦う時間が必要で、それでグダグダしているという正当な理由があるんだ。
正当なのか?知らんけど。とにかく、もうあとは寝るだけでいい人は今すぐ布団に行ってくれよーーー!
と思ったけど、言わなかった。
これが恋が長続きする秘訣だよティーンのみんな。
とにかくまず顔を洗おう。
1日化粧を落とさず寝ると10日分くらい肌が老ける、みたいなことを聞いたことがある。それが恐ろしくて、どんなに眠くても、どんなに酔っていても顔を洗うようになった。
恐れは人を動かす。
洗面所で顔を洗い、やれば出来るじゃないかあとは歯磨きだけだ!とルンルンで化粧水をパシャパシャしていると、寝室から次男の鳴き声が聞こえた。
走って寝室へ行くと、暗い部屋の布団の上で次男が泣きながら怒っていた。「なんで!これが!1コたりないの!1コたりないのよーーーー!!」と。
彼は起きているときも、いつも「〇〇がたりないよー!」と、何かを探していることが多いが、夢の中でも同じなんだな。
とりあえず落ち着かせようと、泣いている次男を抱っこしてそのまま横になった。寝ぼけているだけだったのか、すぐに寝息が聞こえてきた。
次男の鳴き声で目が覚めたのか、ソファーで寝ていた配偶者も寝室へやってきて、またすぐに寝始めた。。
よし、みんな寝た。
なんだか疲れた。
とりあえずリビングへ戻ったら、やたら目が冴えてしまっていて眠れそうにない。
そうして私は、ウイスキーのボトルに手を伸ばした。
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