ストレスは、「受け止めず」に「受け流す」。

意識を受け流す、というのは、なかなかどうして難しい。

今更ながら、小池龍之介氏の本を読んでいる。小池龍之介氏と言うと「考えない練習」がベストセラーになったことが記憶に新しい。わたしが今読んでいるのは比較的初期に刊行された「煩悩フリーの働き方。」という本なのだけれど、現役住職らしい「仏教」の考えを落とし込みながらもなかなか厳しい一手を繰り広げてくれる一冊だ。

さて、何故今になって小池氏の本を拝読しているかと言うと、無意識に抱えているストレスを昇華するのには「仏教」が効くのではないかと考えたからである。せかせかと忙しなく動く世の中に立ち向かっていくには、仏教のような「どっしりと構えた感」が必要な気がしたのだ。実際、瞑想が「マインドフルネス」と呼ばれて世界中に浸透するようになったし、大手企業の中にはこのマインドフルネスを積極的に取り入れているところもある。

わたしは驚くほど無宗教である(日本人の9割がそうだと思うけれど)。幼稚園から高校までキリスト教の学校で育ったにも関わらず家には仏壇があるし、気まぐれに寺に行って墓参りをし、お盆には迎え火と送り火をし、クリスマスも正月も祝い、なんならイースターもはしゃぐ(夢の国でだけ)。ゆえに、仏教のことは何も知らない。そんな無知状態のままでは瞑想の真なる目的も見えず効果も半減するかなと思い、現役住職である小池氏の著書を手に取ることで少しでも仏教の考えを知りたいと思ったのだ。ベストセラーである「考えない練習」ではなく「煩悩フリーの働き方。」を手に取ったのに深い意味はない。これからのキャリアについて考える時期だったから、という建前は述べることができるけれど、ぶっちゃけアマゾンプライムに入会していれば無料で読める本だったからである。

そんな理由で選んだ本だったけれど、これが抜群に刺さる良作だった。これが!アマゾンプライム会員なら!無料!いいのか!?!?と思いながら、有り難く読み進めている。

こちらが刊行されたのは2008年、今から11年も前だけれど、そうとは思えないくらいに現代の「働き方」や「思考」とマッチしていて、全く古臭くはない。寧ろ今だからこそグサグサ来る言葉さえあり、もしかしたら現代は11年前とあまり変わっていない、それどころか悪化しているのか……?とすら思えるほどだ。

そして「働き方」と銘打ってはいるものの、これは「生き方」を説いた本だな、と読み進めるごとに感じる。仕事以外でもストレスを感じることは非常に多い。そのストレスをどう受け流していくかによって、「働き方」も「生き方」も変わっていくだろう。

わたしは「思考の切り替え」は以前に比べると少しはできるようになったかもしれないけれど、元来ポジティブな方ではないので、不意の瞬間にドカンと爆撃を食らってしまうことがある。さながらドッヂボールで思いきりボールをぶつけられたように、暫くじくじくとした痛みを孕んだ感情を抱え込んでしまう。その感情を、運転席でレバーを引くようにしてガッと替えているのが現状なのだけれど、ずっとクサクサしているよりはマシだけれど、それでも一度打撃を食らう分、どうしても瞬発的に生じたストレスが溜まる。思考を切り替えたところで、僅かな「燃えかす」のようなものが生じているのだ。それだってストレスの一種には間違いないので、溜まればいずれは心が壊れると思う。

では、これを発生させないためにはどうすればいいのか。答えは明白で、そもそもまともに食らわなければ良い。つまり、思考を「受け流す」のである。投げつけられたボールを華麗に避けたりはたき落としたりすれば、自分は痛みを抱えなくて済む。その「受け流す」ための技術の1つが瞑想であり、根源は仏教なのだ。

「煩悩フリーの働き方。」では、この仏教の考え方によって、小池氏は現代人の闇をガンガンに斬っていく。例えば、「やりたいことが見つからない」という悩みに対しては「つべこべ言わず目の前のことに集中してやり遂げろ」という具合である(これは意訳であり、本文はもう少しマイルドだ)。こんな調子で進んでいくので、一文一文に思わず「ハイ!すんませんした!!」と背筋が伸びる。なかなか他のビジネス書にはない切り口も多く、視野を広げるという意味でも読んで良かったと思っている。

小池氏の言葉は耳に痛い部分もあるけれど、耳が痛いというのはつまり、「わかってはいたけれど見ないフリをしていた」と同義だと思う。これを機会に等身大の自分を見つめる練習とストレスを受け流す方法を学び、「より良く生きるにはどうすればいいか」を追求してみたいと改めて思わされた。

これを実践的にしたのが「考えない練習」なのかなあ、とも思うので、次はこれを読んでみたい。暫く小池氏の痛快な言葉にハマりそうな予感。

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