7.ES推敲開始:1浪Fラン文系の私が超人気企業に潜り込むまで

大学の試験も落ち着き、ポチポチとウェブエントリーをしていた企業の説明会日程が入り込んできた。私は、覚悟を決めた。そう、赤ペン先生の添削内容に立ち向かうのだ。当時からすでに8年経ったいまだに手元にあるのだから、無くすはずがない。

私はまず、極めて素直に添削コメントに頷いた。そして、秋の自分を恥じた。無対策の私が、合説で見た同世代の黒子の群衆に敵うわけがない、とやっと気づいたからだ。そして、もう一つのことに気がついた。マイナビとかリクナビサイト、履歴書や企業によって微妙に項目や文章量が異なっているのだ。ここでまた挫折した気分になった。ここまでの時期になると、2浪マーチさんも情報通の友人も、自分の事で精一杯だった。でも、誰かのアドバイスというか、指針というか、やり方が知りたい...この期に及んで私は、他力本願を貫いていた。

私が頼ったのは、頭を抱えた大学のPCから徒歩2分の、学生支援課だった。なぜなら、近くて無料だからだ。普段お世話にならない分少し緊張したが、職員さんは割と優しかった。聞くと、キャリア相談員なるオジサンが交代で学生のキャリアの悩みに応えてくれているらしい。無料と言っても給与は我々の学費から賄われているので、使い倒す方がお得だし、大学としても良い就職実績を求めているのだから、利害が一致している、はずだ。私は「エントリーシートの書き方」について御指南を乞うため、予約をしたら「この時期はまだ空いてるからいいよ」と即相談を始めてくれた。後から知るのだが、本学の学生は「のほほん」なので、一般的には既に出遅れている私でさえ早い方らしいのだ。もっとPRを頑張れ!忙しくしろ!学生支援課!

で、私は少しエラそうな雰囲気のオジサンに、ストレートかつ謙虚に「エントリーシートや自己PRを書いたんですが、なかなかうまくまとめられません。何が参考になりますか?」と聞くと「まぁ見せてみ」と言われたので、私の真っ赤に染められた処女作より少しマシになった履歴書(下書き)を初恋の乙女の2/14よろしく提出した。当時はまだ「履歴書は手書き!」という悪き風習がギリ残っていて、大学指定の履歴書を買ってコピーして下書きを作っていた。
あっと言う間に読み終わると「胆力ってどんな意味だ?」と聞かれ、即答できなかった。「君ね、自分でわからない言葉をカッコつけて使っちゃダメだよ。あと、色々書いてるけどわかりにくい。大学で一番頑張った事って何があるの?」と、赤ペン先生を音声で投げつけられた。私に心のか細い膜がパキパキ破られていった。

つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?