4.他社牙城への取り入り方:Fラン卒が業界最大手で最年少社長賞をもらうまでの成果と反省

やることは簡単だ。「めちゃくちゃ通ってアピールし続けること」。これに尽きる。だが、会ってもらうだけではなく、契約や購入につなげるには、ルールがある。この4点は絶対と言っていいほどに外してはいけない。

①競合他社の悪口や悪評を話してはいけない

なんなら、社名でさえ言うべきではない。会話相手の決裁権のある無しではなく、相手先様は現在、その会社にお金を払っているのだから、満足していようがいまいが、マイナスな事は言うべきではない。仮に事実だとしてもだ。


②平伏するような気持で、話を聞いていただけるようつとめる

記載の通り、マインドセットが重要だ。相手の事を考えれば、困っていようがいまいが、別に今のままでも良いのに、こちらの都合や思い込みに付き合わせてしまっている。話していただけるだけでも有難い、仏さまの様な存在だ、と、いう心持で接しなければならない。当然、連絡にはすぐに応え、できる限りYESマンになることも重要だ。知識不足や確認が必要な点は、営業上不利にならない程度に、なるべく真摯に対応する必要もある。


③品質ではなく「人柄ややる気」をウリにして、誠意を伝える

他社の商品で間に合っている場合、または、他社との人間関係を重視している場合、売り込むべきは自社商品ではない。単に、相手はさほど興味が無いからだ。効率化やコストカットでさえも不要な可能性がある。なぜなら、仕入れやサービスを変えないという事は、安心していて、困っていない、保守的な状態だからだ。満足度の向上はなおさら難しい。その上で選んでいただくには、もはや飛び道具(接待や差し入れ)しかない。たいていの場合、そんな場面設定をする前には、「安心できて、困らせない」相手になる必要がある。自分が一生懸命、精神誠意取り組める「あなたに対して誠実であること」を伝え続け、認識いただく必要がある。


④こちらのキャンペーンや売り物・目標は度外視し、相手の都合に合わせる

相手の都合だけを重視し、売りたいものを一切封印し、相手が欲しがるものや、相手に使っていただくことで相手が豊かになると思う売り物を提案する。一切妥協無く、徹底的に相手のニーズに合わせ続け、できるだけ、相手が気づきもしないお困りごとまで考えて提案することが重要である。さながら、片思いの相手に振り向いてもらうが如く、相手の事を徹底的に考え、相手に必要だと思えば時に積極的に、相手の様子次第では時に一歩下がってご提案することが重要だ。


上記4点を前提に「営業し続けること」が重要だ。よくある営業資料も、汎用型だけではなく、その顧客に合ったものを作り、または組み合わせるべきだし、訪問すべきタイミングも相手を想定し、徹底的に合わせるべきだ。

基本のキの様な話ばかりだが、意外と、1つの顧客にこれらを貫き通して対応することはできない。他の業務と調整した結果、しわ寄せが生じるからだ。そして、営業では優良顧客や継続客こそを優先しがちなだ。逆を返せば、競合他社は牙城とする同社に対して、優先的な、丁寧な対応をしているので、相対的に「悪い」とみられることは明白である。

特に新人は、先輩が「取引先」を丁重に扱っている姿を目にすると、逆が発想しにくい為「意外とやってみると相手ハマる」のである。

未熟な1年目の私は、ここまでの徹底はできなかったし、相手に面倒がられることの方が多かった。だが、逆に1年目だからこそ、ガッツと誠意を一生懸命、愚直に伝えることが、少なくとも話を聞いてもらえる、コンペや提案に混ぜてもらえるきっかけになったことは言うまでもない。

牙城崩しの営業は半年間かかった。相当にしんどかった。

だが、2年目に差し掛かる頃には、過去に一度も話を聞いてもらえなかったコンペに混ぜていただいたり、10年間、地場の競合他社の牙城だった案件をコンペの末に、高い価格の案件で奪取することができた。あの案件もこうすれば……という反省は尽きないが、書類を整理していたころからすれば見違えるような成果になっていて、仕事が楽しくなってきていた。

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