トモアキ

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モノづくりを肯定できない自分:映画「ハケンアニメ」の感想

※この記事は映画のネタバレが含まれます。まだ見ていない人は楽しみが減ってしまうかもしれません。 モノづくりを全肯定する映画 私は、企画という仕事を15年ぐらいやってきて、モノをつくるという仕事を25年ぐらいやってきた。 その結果、私は「モノをつくる」ということに意味を見いだせていない。 その気持ちを抜きにこの映画を語ることはできないな。 (この記事は感想よりも自分語りが多い記事になってしまっています) 「ハケンアニメ」は、作品を作って、人に届け、人に刺さる、ということに命

    • 35人の14歳の人間を見た:映画「14歳の栞」の感想

      https://14-shiori.com/ 中2のクラスのドキュメンタリー ごく普通の中学2年の終わりまでの50日間を記録したドキュメンタリー。 とある公立中学校の1クラスの3学期の記録だ。 50日間で、複雑な14歳の心のなにがわかるのか?と思ったんだけど、120分の中にしっかりと35人全員の人格が描かれていた。これはすごい。 構成は、35人1人1人のインタビューと、クラスの風景、休み時間、授業、学校の催し物の羅列。でもこの情報の断片が徐々につながってきて、人間関係の

      • 母親はどこまでが母親か?:映画「Mother マザー」を観た感想

        https://eiga.com/movie/92550/ きわきわの母親を描いた話 万引き家族がきわきわの家族 マリッジストーリーがきわきわの夫婦 のお話ならば、このmotherは、きわきわの母親の話なのではないか。 母親でありながら親の責任は取らず、子供を自分のために使う秋子。 息子、娘の立場で考えることができないが、彼らを決して手放すことはしない。 その執着は本能からくるものなのか。血から来るものなのか?自分の母親に対する投影なのか、、それはわからないが、それは秋子

        • お互いを尊重することが未来に繋がる「ストレンジワールド」を見た感想

          この記事はネタバレが含まれます。映画を楽しく見たい方は読まない方がよいかもしれないです。 調和は大事 この映画は、自分の価値観と世界の価値観の調和に気づく、という映画だ。 主人公、その父親、自分の息子、それぞれの考え、価値観があって、 ぞれぞれが自分の価値観と違う考え方を否定し合う。 調和を図るには、各々がどんな考え方にたどり着かないとならないのか? ストレンジワールドという未知の世界のスペクタクルアドベンチャーを 楽しんでいるうちに、その過程を知ることができる。 巨

        モノづくりを肯定できない自分:映画「ハケンアニメ」の感想

          蓋をした過去に向き合うには?「すずめの戸締まり」映画の感想

          この記事はネタバレが含まれます。映画を楽しく見たい方は読まない方がよいかもしれないです。 私たちは死が隣り合わせにあることを知っています。それでも生きたい!2011年3月11日、東日本大震災が起こった。 多くの人が亡くなった。 その不幸に対して、そこから離れた立場である、自分はどうあるべきなのか? なにかアクションが起こせたのか? ボランティア? 寄付? 想像を膨らませた? 自分事にしたか? 世の中には、自分と離れたところで多くの不幸がある。 ウクライナの戦争、ミャンマ

          蓋をした過去に向き合うには?「すずめの戸締まり」映画の感想

          うっすらと漂うこうあるべきという考え方。映画「あのこのは貴族」の感想

          https://anokohakizoku-movie.com/ この記事はネタバレが含まれます。映画を楽しく見たい方は読まない方がよいかもしれないです。 「この部屋の物、全部美紀さんのものって感じがするから」渋谷区松濤になんの拍子かわからず迷い込むと、とても大きな家が立ち並んでいて驚く。こんな土地代が高いところにこんな大きな家があるなんて、どんな人たちが住んでいるのだろう。 この映画はそんなところに住んでいるお嬢様のお話。周りに流されて生きているお嬢様が、お家の常識に

          うっすらと漂うこうあるべきという考え方。映画「あのこのは貴族」の感想

          伝わらない、を超えるには。映画の感想「coda あいのうた」

          https://gaga.ne.jp/coda/ この記事はネタバレが含まれます。映画を楽しく見たい方は読まない方がよいかもしれないです。 「魂の芯」を伝える方法 人と人の頭の間には、必ず壁がある。 どんなにお互いをわかり合えると信じていたって、 最終的に、お互いが考えていること、頭の中を覗くことはできない。 この映画は、その伝わらない、肝心な部分、 ”魂の芯みたいなもの”を伝える方法を教えてくれたような気がする ろうあ者の中で育った少女 主人公の女の子の家族、父

          伝わらない、を超えるには。映画の感想「coda あいのうた」

          恥をかくことで前に進める。映画「プリテンダーズ」の感想

          この記事はネタバレが含まれます。映画を楽しく見たい方は読まない方がよいかもしれないです。 印象に残ったセリフ「私は私の世界を変えたいんです!」 ずっと感じる居心地の悪さ「恥」の映画だと思った。 ずっと不快なモヤモヤを感じていた。 背伸びしたティーン、未熟なコンテンツ、 こういう場合、主人公はバカだけど、憎めないところがあって、 というのが海外の映画であるパターンなんだけど、 この映画の主人公「かりん」は、好きになれない。 似たパターンで思いついたのが「ブックスマート」

          恥をかくことで前に進める。映画「プリテンダーズ」の感想

          ここはすばらしき世界なのか? 映画「すばらしき世界」の感想

          https://wwws.warnerbros.co.jp/subarashikisekai/ この記事はネタバレが含まれます。映画を楽しく見たい方は読まない方がよいかもしれないです。 嵐の風に揺れるカーテン。 戻らないでくださいよ、と言われて頷く背中。 「シャバは生きづらいと言いますが、空は広いって言いますよ。」 印象に残った場面。言葉。 「すばらしき世界」は、「すばらしい世界」を描いた映画だ。 「すばらしい世界」とはなんですか? この世界はすばらしいのか?元ヤク

          ここはすばらしき世界なのか? 映画「すばらしき世界」の感想

          夫婦はどこまで夫婦なのか? 映画「マリッジストーリー」の感想

          この記事はネタバレが含まれます。映画を楽しく見たい方は読まない方がよいかもしれないです。 キワキワの夫婦。 万引き家族が、キワキワの家族を描いたなら、 この映画はキワキワの夫婦を描いたお話し。 夫婦はもともと他人であり、最初は愛という感情でつながっているが、 愛は薄れていく。その先のつながりを夫婦と言えるのか? そんなことが問いかけられているように思えた。 オープニングは、相談員の勧めで書いた、お互いのいいところをしたためた手紙のモノローグから始まる。 そこに描かれて

          夫婦はどこまで夫婦なのか? 映画「マリッジストーリー」の感想

          家族はどこまでが家族なのか? 映画「万引き家族」感想

          この記事はネタバレが含まれます。映画を楽しく見たい方は読まない方がよいかもしれないです。 本当の家族とは。 なにをもって家族なのか、血のつながりなのか、公的な書面なのか、お互いを思う気持ちなのか。 「お互いを思う気持ちがあればそれは家族なのだ。」 そんな答えを観客は持つだろう、ということを見透かしてか、この作品はもう1歩踏み込んで、自分を愛する気持ち、身勝手さ、から、相手を家族扱いするエゴも同時に描いている。 相手を思うことと自分が気持ちいいからする、という気持ちは矛盾し

          家族はどこまでが家族なのか? 映画「万引き家族」感想

          壊れそうな心には、どう触れるのがよいのか? 映画「心のカルテ」感想

          この記事はネタバレが含まれます。映画を楽しく見たい方は読まない方がよいかもしれないです。 心に残ったシーン母親たちが自分の言いたいことをぶつける中、 妹が姉にむき出しの気持ちを吐露する場面、 先生が、妹だけがキミの気持ちになって語っていたという場面 少年が好きという気持ちをぶつけるが、 お互いの弱さが出てしまい、うまくコミュニケーションできない場面 アートに触れて 人生はすばらしいことだと感じて、かたくなになってしまうところ それを「消えちまえ」と言えたところ 少女がチ

          壊れそうな心には、どう触れるのがよいのか? 映画「心のカルテ」感想

          ラジオを聴きながら仕事すること

          仕事をしたくない日リモートワークが続き、よくわかったのは、どーしても仕事に身が入らない日、時間がある、ということ。自分の家と会社とのメリハリがないせいなのか、画面を挟んだコミュニケーションが思いのほか集中力を使うからなのか。どっと疲れる瞬間が、どうしても出てくる。 そんな時、基本はだらだらと横になって、鼻をほじったり、ぼんやりとしたり過ごすことにしている。twitterやyoutubeを見だすと完全にそっちに持っていかれるのでなるべくやらない。 やる気がない時の仕事の仕方

          ラジオを聴きながら仕事すること