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機能を超えるかたち プロポーション

同じ比率のものを写真にすると、同じプロポーションの相似形のため、並べなければサイズが把握できない。
写真の杓子には5つのサイズがある。
禅宗で用いる応量器のように用いるサイズによって機能が浮かび上がる道具として考案したものである。
箸があることでかろうじてスケール感が浮かび上がる。
この形は宮島に伝わる杓子の原型を模っている。
形の着想は今から約200年前厳島神泉寺の僧誓真によるものである。
楽器の琵琶の流線的な「かたち」は見立てにより、もっとも身近な生活の道具杓子に近似され、転化され、機能を離れたところにあるパーマネントな美の遺伝子として受け継がれた。
粥から白米へ、汁物を掬う道具から白米を装うへら型の道具へ。
食の変化、社会的なニーズのモデルチェンジにフィットした、新しい道具としてその役割を果たした。
柄が細長く、特徴的なプロポーションは、釜でご飯を炊く時代、着物の袖に飯がかからぬ様配慮された形
その後、時代は移り、炊飯器の時代、7寸(22㎝程度)杓子が主流となった。琵琶のプロポーションの杓子は市場から姿を消した。
多様化した食生活に合わせたサイズを与えることで、新たな道具としてリジェネレイト(再生)する。
職人的技術の継承と同様に
継承するための技術継承するための戦略そのものをデザイン化することの必要性を痛感する。
継承というテーマにテクニカルなアプローチで対応した手法として思い出すのは木造建築の木割である
サイズが変わってもプロポーションを一貫させる手法
木割書は、意匠の標準化継承の技術書である一方、
流用の構想力を許容する指南書でもありうる。
移動することでそこにたち現れる遠近、大小の錯視、人称の変化は
機能の境を飛び越え、景色に新しいディメンション(新機軸)を与える。
相似形の庭と盆栽とを等価に見すえるスケールフリーな第三の視点
S、M、L、XL サイズを超えフラクタルに展開する
ジェネリックかつオーセンティックな構想とともに新たなtemplete(型)が浮かび上がる。


杓子のコピー



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