比喩を用いた歌詞表現と 受け取り手の解釈との合致が生むカタルシス

こんばんは。

現在2020年10月15日午前1時。

すっかり秋めいてまいりましたね。

うっかり半袖で出かけてしまうと日が沈んでから二の腕がヒンヤリしてしまいますよね。

この「なんとなくぼんやりした季節」が僕は昔から好きで

自然とエモーショナルになったり

深層に潜むクリエイティブな扉をノックされたような気がしたり。

「楽しい!」という発散された高揚感ではなく、

「悪くない」という少し内向的でやや俯瞰的な感情に浸ったり浸らなかったりしています。(浸らないんかい)

さて

ここ数年はこの季節になると「きのこ帝国」ばかり聴いてしまいます。

『金木犀の夜』という曲が大好きで

秋、夜の帰り道を歩きながらこの曲を聴くとなんとも言えない空気に包まれて

とてつもなく気持ちがいいんです。

その「きのこ帝国」の2ndアルバム『フェイクワールドワンダーランド』というアルバムに

『クロノスタシス』

という曲があります。

深夜0時にコンビニへ行き、

缶ビールを買い散歩する男女。

恋人同士かは明言されていません。

しかしこの歌詞の語り手は2人だけの空間を尊く感じている・・・。

といった世界。

そこでこの歌詞です↓

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"クロノスタシス"って知ってる?

知らないときみが言う

時計の針が止まって見える

現象のことだよ

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僕はつい3時間ほど前までこの歌詞を聞き流していました・・・。

「あー、確かにそういう瞬間あるよね!」

くらいに・・・。

何度も聴いている曲なのに僕はこの歌詞の意味にたどり着いていませんでした。

およそ何度繰り返したか分からないほど聴いていたはずなのに(涙)

そうです。

文学的な勘が鋭い方はすぐにお分かりだと思います。

「時計の針が止まって見える現象」である「クロノスタシス」・・・。

これは

「いまこの時が止まればいいのに」

という感情の比喩であり

転じて

「君が好き」

ということか!と・・・

・・・。

仕事からの帰り道

ふとこの解釈にたどり着いてしまって

たまらず公園のベンチに座り込み、始めから聴き直してしまいました・・・。

そして聴き終わって深い溜め息・・・。

曲の彩りが圧倒的に増しました。

それにしてもすごい。

「好き」と言えない感情の代替としての言い回しや比喩表現は数多あれど

この角度からの

「好き」

もはや芸術の域ではないですか?

え?

はい、興奮していますよ!

これに気付いた瞬間、

長編小説のオチに触れる刹那と同等の感動が押し寄せ

脳内麻薬大量分泌のカタルシスに飲み込まれていましたから!

しかし

感動したと同時に己の文学的センスの無さに愕然・・・。

まだまだですね・・・。

ああ、偉大なる文豪、音楽家たちよ!

俺の感性を豊かにしてくれ!

夜の公園でピタと止まったブランコに嘆願していました。

・・・。

そして

もし今後

誰かに

「好き」

と伝えたくなったら・・・

でも

なかなか

言えないときは

・・・。

こう言いたいと思います。

「ねえ、クロノスタシスって知ってる?」

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