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詩)オーダーメイド

駄洒落まがいの呪詛を取り仕切り

担当が少なく 報酬も俄雨(にわかあめ)

にも関わらず 我々のやり方は旧態以前そのままで

同業者にバカにされることもあるが

質の面では抜きん出ていると自負している

(新参は何も分かっていない)


我々はカバラを使わない

バケツをひっくり返すような点数稼ぎをしない

あれはこぼれ落ちる 雑なやり方だ

しかし それが 専(もっぱ)ら通用して 

意味も分からず消えていく有象無象

奴等が用意した欲望のレールにだけに忠実で

そいつらは真実を知る方向には全くエネルギーを使わない

怠惰とも言えるその魂には何の価値もない


だからわざわざ呪いも開示してある

まだ抵抗する気骨のある対象を飼育して

その他大勢と一緒に飲み込むために

その歯応えが 主人たちにとって

最近流行りのスパイスだとさ


そのような薄利多売が横行するなか

珍しく手間をかけて 華から我々は仕上げていく

対象の期待を超える演出で

物語に酔わせて ご納得のプランで

◯すら本望とも思わせるほどに完成された呪い

最期に こちらで用意した華が

自ら望んで標的の魂に連れ添うこともある

不思議と その成果は芳(かぐわ)しく

我々の預かり知らぬところで

天使の口元に運ばれるらしい


完)オーダーメイド







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