見出し画像

井から出た娘、大海を知る【こころのままに、とりとめもなく(5)】

娘が反抗するようになった。
事あるごとに、口答えしてくる。

おとなしく控えめで、人のうしろをついていくタイプの娘。年少で保育園に入園したときには、1~2年早く入園していた他の同級生に圧倒されっぱなしだった。体は一番小さく、教室や廊下を走り回っている子には吹っ飛ばされたし、我が強い子にはおもちゃも友達も奪っていかれた。

中学生になっても反抗期らしい反抗期は来なかった。保育園から一緒の我が強い子に面と向かって悪口を言われてもただただやり過ごしてきたという。

そんな娘が口答えをするようになった。

正直、しめしめと思い、こころの中でニヤリとした。ようやく自立に向けての成長が始まると思ったからだ。

。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。・゚・。

娘はこの春、高校に入学した。

保育園・小学校は同じ校区内で、同級生は40人弱。中学も2つの小学校区が合わさっただけで、1学年90人ほどだった。部活も大会のない文化部で、他校の生徒と関わることがなかった。

そんな娘が、生徒数が1,000人を超えるマンモス校で揉まれた子や、市の都市部(ウチと比べるとかなり都会)で暮らす子たちと、同じ教室で過ごすようになった。

そこで、いままで知らなかったことや考え方に触れる機会が増え、見える世界が広がったようです。進学に期待していたことが、あまりに早く表れ、娘の変化に面食らいもしました。

親は全知全能ではないし、自分の過ごしてきた世界はとても小さいものだったと知ることができたからこそ表れた反抗なのでしょう。

。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。・゚・。

ちょうど同時期、私も似たような感覚を味わいました。

新しい分野への挑戦をするとき、YouTubeで、その分野の知識を得たことはありませんか。そして、良さそうだと思ったチャンネル内の動画を何本も見て、その配信者を神々しく感じたことが。

私は在宅でできる仕事を探していたときに、Webライターという仕事や、クラウドソーシングという働き方をYouTubeで知りました。そして、何人ものインフルエンサー的なWebライターさんやブロガーさんの動画を見て学んだのです。

その後、実際にライティングの仕事を始めました。2年ほど経過して、以前キラキラして見えたとある配信者のSNSからその方のブログを読んだんです。すると、なんだか発言がぼんやりとしていて、その方の存在がしぼんでしまったかのように感じました。まあ、私の場合は自分が成長したとかではなく、知見が広がっただけだとは思うんですが。

。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。・゚・。

行動範囲の拡大とともに新しい価値観に触れた娘の中で、親の存在の占める割合が減ってきているのでしょう。はっきり大きく見えていた親の姿は、小さく霞んできているようです。

少し広い世界を知った娘が、もっともっと広い世界に出ていっても、安心して帰ってこられる場所(ひと)であり続けられるよう、私も成長しないといけませんね。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?