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『摂食障害のすべて』 高木 州一郎

摂食障害の歴史や患者、そして治療法について分かりやすく記載されている。
しかし、「お金持ち、またはお金に不自由しない家の子が構って欲しいが故に摂食障害に陥る」
あるいは「ストレスから深夜過食し、嘔吐を繰り返していたが結婚や出産を機になくなった」など、ステロタイプから抜け出せていないのかな、と思った。

私は、15キロのダイエットに成功したことがある。
これは私の唯一の成功体験だ。
嬉しくて、社内の人間に言ってしまった私が馬鹿だった。顔を合わせる度に身体のことを言われる。
食べたり、太ったりしたら何を言われるか恐怖になる。更に食べなくなり、生理が止まった。炭水化物をとらないからコレステロール値が上がった。
何も気にならなかった。

転職したら、更なる恐怖が待ち受けていた。
上司がホールケーキを注文し、女性従業員に切らせていた。私は仕方なく食べた。
自分が注文したにも関わらず「太るよ」と言ったり、ラーメン屋や居酒屋に連れて行こうとする。

それ以後、私は何度か転職したが、飲食関係じゃないのに、何故か食べ物がついてまわった。
それどころか、私にとって量が多すぎ、無理矢理完食した定食をみて「意外に食べるんだね」と言った人間もいたし、飲み会で私が食べていた姿を「意外に大食い」と言いふらした人間もいた。
言われた瞬間、時間を戻し全てなかったことにしたかった。

私は、普段我慢しているせいか、目の前に料理をたくさん置かれると我慢できない。ご自由にお取りください、状態だと、人の目も満腹中枢も感じず食べ続けてしまう。
その割に、昼休みはサンドイッチ一つやパン一つ。

大声で「それだけなの?」と言われたことも一度や二度ではない。
人の食べる物は放っておいてほしい。

痩せる身体を賞賛しながら、無理矢理食べさせる社会。
ごちそうするから、おごるから。
その言葉を好意と受け取らないと空気が悪くなると思い声を上げられない人々。
会社では、大食いキャラで通っている人が、食べた後、ものすごく機嫌が悪くなる。
男性社員に付き合ってラーメンを食べてた女性社員が、サンドイッチ一つしか食べない私を快く思わない。
彼らは摂食障害でなくとも何らかの問題を抱えている。

私は、現在生理も来るしコレステロールも正常値に戻った。
しかし、時々痩せていた自分に戻りたくなる。
痩せすぎて、冷え性はひどくなり、生理も止まった。寝返りをうつと浮き出たアバラが当たって痛かった。それでもあの時の自分は、いつも機嫌がよく色々な所に行っていた。身体が軽かったのでストレッチを一時間以上していられた。
心理学の知識をわずかに持った今なら、それは拒食症特有の『過活動』だと分かる。(ADHDの特性もあるかもしれない)
でも、今の私は、あの痩せていた頃の自分を取り戻せば、また働くことが出来るかもしれない、全てが上手くいくかもしれない。
そんな幻想を抱いてしまう。
痩せている身体は無敵。
私の価値観はあの頃と変わっていない。

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