キャンパス(1)
昨日夜遅く降り始めた雨は止まない。
外出する時の雨は嫌いだけど家にいる時の雨は好き。
規則的なようで実は不規則な雨の音は私の心を静めてくれる。
どんな怒りも。苦しみも。
電話を手に取り深呼吸する。
吸って、吐いて、考える。
最初の話題、最近のトピック、そして適度に心配をかける愚痴。
一呼吸し着信履歴を検索し【発信】ボタンを押す。
「もしもし、お母さん?」
母の声は元気そうだった。予定通りに話を進められホッとする。
「他の課の女の人がゴミ1つ落ちてるだけでうるさいんだ。直属の上司の人は何も言ってくれないしさ・・・」
それは鬱陶しいなあ、大変やなあ、あまり気にしやんとき・・
母へ愚痴や悪口を言う度に自問自答する。
私、本当にこんなこと思ってる?
誰でも短所はある。
私が他人に我慢出来ないことがあるなら、周りも私に我慢できないことがあるだろう。
でも数年前の出来事が頭から離れない。
ねえ、大丈夫?何かない?何か、何か・・・
まるで「あなたが問題を抱えてないと私の生きる意味がなくなるの」と言っているようだった。
家族内の役割は永遠に変わることはない。
私は常に"末っ子”だ。
何も出来ず、底辺で、心配かける末っ子。
最近ではいじられキャラというのだろうか。
人気者の代名詞のように使われるのは何故だろう。
大勢の前で見下されて笑うことが人気者の条件なら、私は人気者になりたくない。
でもこの世界で役割は強引に決められる。
尊敬を得られる役割や褒められる役割、頼られる役割。
より良い役割を得る方法は?
誰かに底辺の役割を押し付けてしまうことだ。
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