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50ccツーリング『関宿⇆犬吠埼 利根川約300キロの旅』

 私は旅がとても好きだ。車で行く旅。電車で行く旅。飛行機で行く旅。
そして、今回はツーリングの旅のお話をしようと思う。
 ツーリングと言っても中型バイクや大型バイクでの長距離旅ではない。
50ccで行く原動機付自転車によるとてもゆっくりなスローツーリングだ。

 2013年にその50ccツーリングを職場の同僚コスタさん(今は二人とも別の仕事でそれぞれ店長職に就いている)と一緒に実行した。
 二人とも埼玉県在住であることと8月と夏であったことから、海を目指すことに決めた。
 ではどのように海を目指すのか?どこの海に行くのか?だ。
 ふとその時、昔父と弟が同じく50ccで関宿から利根川沿いをなるべく走り犬吠埼まで行った時の冒険譚を思い出した!!
 それだ!
 私はすぐにコスタさんにそのプランを話した。
 目指すは犬吠埼。
 そして、ルートは
 利根川を下るイメージで。

 2013年8月8日。関宿近くの道の駅に朝6時前に集合した。さっそく野田市関宿に入り、利根川の見えるところまで行く。時間も時間のためか人が全然歩いていない。
 おかしなことに散歩している人もいない。だが、私たちは深く考えず先に進むことにした。
 ここでちょっとした恐怖を体験することになるとも知らずに。

 なにも気にせず、しばらく農道をゆっくりと走ってると、どこからともなくヘリコプターのローターの回転する音が聞こえてくる。バイクを一度止め、音のする方向を見上げると、まるでアパッチ戦闘ヘリのごとく翼のようなパイプの付いたヘリコプターが真横の畑に、霧状の液体を噴射し始めたではないか。

 これは!空中散布か!?

私「コスタさん、これ吸ったらヤバイですね」

 私は首に巻いてあるbuffのネックカバーを鼻が隠れるまで上に上げ、ヘルメットのシールドを下げる。コスタさんも同様にシールドを下げていた。
 とにかく今はヘリコプターから離れなくてはいけない。私たちは農道をまっすぐ走ってその場から離れようとする。が、前方にも別の空中散布ヘリコプターが噴霧しながら飛行し、旋回しては別の畑にまた散布している。
まるで私たちを封じ込めようとしているかの如く行く手を農薬の霧が塞ぐ。
 なんとか曲がれる道に出ると、まっすぐ走りそのエリアから脱出を試みる。今回は成功。
 ちょっと浴びたような気がしたので、二人してコンビニを求めてバイクを走らせる。
 農道の為、なかなか出てこなかったが、10分ほど走らせていたらセブンイレブンを発見。駐車し、トイレを借りる。顔を洗いうがいをして、飲み物を買う。
 バイクの所に戻り、持ってきた目薬を差す。

 ふ~。

 一息つくと思わず二人で笑ってしまった。いきなりトラブルに飛び込んでしまった。
 今思えば、誰もいないのはそういうことだったのか!?空中散布があるため、地元の方々には通達がされていたのだ。

 気を取り直し、バイクを走らせ、犬吠埼を目指す。

 そこから先は結構順調に進んでいった。牧場があるのだろう家畜の匂いがふわっと身体を包み込む。そう、バイク旅はその地その地の空気感を思いっきり味わえるのが魅力の一つである。
 多少なり利根川を見失いよくわからないところを走っては、利根川の見える道を見つけ
その横を走行する。

 出発から約4時間ほどで、香取市にある水の郷さわらに到着。ここで少し休憩する。気が付けば、ほぼノンストップでずっと来ていた。
 水の郷さわらは、利根川の横にあり、水陸交通の結節点となっている。たしかに桟橋がありボートが数台停泊していた。
 フードコートがあり、帰りにまた寄ることを決め、先を急ぐことにした。
あと三分の一くらいだろう。ひたすら利根川を横に捉えつつ、犬吠埼を目指す。日差しがどんどん強くなっていく。
 50ccの速度では熱い。とにより雑木林の中の道を走ると涼しい空気になり生き返る。そのようなことを繰り返して犬吠埼の看板が目に付くようになってくる。
 コスタさんと私は念のため、ガソリンを補充しようと犬吠埼付近のガソリンスタンドにより給油する。
 ガソリンスタンドのおばちゃんにどこから来たのか尋ねられ、コスタさんが埼玉から利根川沿いに来たことを告げると、「これできたのかい?」と驚きともあきれたともとれる声色で返事が来る。
 ガソリンはあまり時間もかからず補充完了。50ccの燃費の良さに驚かされる。
さて、さぁいよいよ犬吠埼だ!!

 だんだんと潮の香を感じる空気になってくる。もう少しだ。
そうこうしてるうちに港町に入っていることに気が付く。銚子の街についたのだ。
急がずゆっくりとバイクを進める。すると、川がついに海へとつながる場所が目の前に広がっている。
もう少しだ。そのまま港を入っていると、銚子ボートタワーの姿が飛び込んでくる。このまま、まずは犬吠埼へ直行だ!!
港町から少し離れ、海岸が見える。海水浴場だ。そして、その先に犬吠埼が!!
犬吠埼についに到着するが、けっこーな賑わいでした。
 コスタさんと私は大変お腹がすいていたこともあり、犬吠埼には着いたが、バイクの反転
させ、銚子ボートタワーのある水産ポートセンター方面に!!
 ここまで約6時間ほど。

 ウォッセ21にて、二色丼(ネギトロといくら)を注文!!漁港での海鮮を満喫する。
 いやぁ~~ほんと美味しい!!

 その後、ちょっと市場をふらふらし、改めて犬吠埼の方へ。
『東洋のドーバー』と呼ばれる屛風ヶ浦を散歩し、目的地である犬吠埼とその周辺を後にする。

 滞在時間約2時間。
 帰路は比較的スムーズに走ることができた。が、日が落ちてからのバイクは寒い。そして、お尻が痛い。さすがに乗り続けているのはキツイ。
 無事に二人とも帰宅。トータル約12時間300キロの旅という壮大な冒険を堪能することができた。

 50ccの旅はスローだからこそ小さな冒険が詰まっている。この後、就寝した時に、身体がバイクの振動をずっと感じていたのは、バイク乗りならわかることだと思う。
 またあのような“小さな大冒険”に挑みたいと思う!!

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