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槍使いの生き方に憧れる

漫画やゲーム、小説にふれていると、好きなキャラに特定の共通点を見つけることがあります。

私の場合、そのひとつが「槍使い」のキャラクターです。

今回は私が愛してやまない槍使いを5人紹介します。

①バルサ(守り人シリーズ)

上橋菜穂子さんが書く大河ファンタジー小説「守り人」シリーズ。
原作は既に完結済み、アニメ化・ドラマ化もされています。
「精霊の守り人」と言えば聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。

主人公のバルサは作中で「おばさん」の域に入る、流浪の女用心棒。
「短槍使いのバルサ」として名の通った武芸の達人です。

彼女は好きこのんで用心棒になった訳ではありません。
祖国を追われ、父の友人ジグロの養い子として追手から逃れるため各地を放浪。
ジグロは後に自分がいなくなってもバルサが生き延びられるように、厳しい鍛錬を課せ、短槍を仕込んだのです。

幸か不幸か、バルサには武芸の才能がありました。
また、短槍を振るうことで理不尽な目に遭った悲しみと怒りを昇華しようとしました。

しかしジグロが病で亡くなり、用心棒になってからはどこかしらで恨みを買うことになります。
バルサは自身を「闘わずにはいられない闘鶏」と揶揄し、傷を奥底に抱えたまま争いに身を投じるのです。

バルサはかなり成熟した精神を持っています。
他作品ではあまり見られない主人公の造形ではありますが、やはり心に抱えるものは平穏に生きてきた人間のものではありません。

皇子チャグムを守る話から始まり、祖国や養父ジグロ、また幼なじみで互いに想いを寄せる薬草師のタンダとの微妙な関係が描かれ、やがて各国を揺るがす大きな争いに巻き込まれる……。

数奇な人生に翻弄されながらも、バルサのたくましさ、かっこよさ、時折垣間見える人間臭さに魅了されます。

本格的に槍使いが好きになったのは、バルサがきっかけだったといえます。

②マルティナ(ドラゴンクエスト11)

国民的RPG・ドラゴンクエストの女性キャラといえばおおよそ3種類に分類されます。

・勝気なおてんばキャラ
・おっとりした癒し系キャラ
・セクシーなお姉さんキャラ

うち、ドラゴンクエスト11のマルティナは「セクシーなお姉さんキャラ」的な存在です。

10以外のナンバリング作品と漫画「ダイの大冒険」「ロトの紋章」を網羅した私でも、11のキャラクターは掘り下げが深いと感じます。

発売当初プレイできず、未プレイ時から槍使いという理由で「マルティナが好き」と公言していた私。
実際にプレイすると、最も好きなキャラはオネエのスーパースター・シルビアに軍配が上がったものの、マルティナはとにかく設定が好きです。

マルティナは若干バルサと境遇が似ています。
幼少期にある国の祝宴に呼ばれていた際、魔物の襲撃に遭い、祖国に帰る術を失います。

彼女は生まれて間もない主人公を守りきれなかったことをずっと悔やみ、主人公の祖父・ロウ老師とともに放浪の旅へ。
離れ離れになった主人公を捜すため、その旅は10年以上におよびました。

旅の途中で主人公をようやく見つけ出した後、勇者(主人公)を「悪魔の子」として追うグレイグ将軍と交戦します。
追い詰められ、崖から飛び降りる際マルティナは「今度は 離さない……っ!」と主人公を抱きかかえて落ちていく……。
このシーンが大好きです。

マルティナと主人公の関係は、「ロトの紋章」の主人公アルスと、その姉的存在・ルナフレアとよく似ています。

ルナフレアは従者の娘なのでマルティナとは立場が違うのですが、プロローグで国が襲われるのはドラクエあるある。ロトの紋章でも冒頭から逃亡劇が描かれます。
ルナフレアは赤ん坊のアルスを守り、魔物を食い止める父を残して泣きながら亡国するのです。

私がロトの紋章を読んだのは小学生のとき。彼女についてはネタバレになるので詳細は割愛しますが、初めて漫画で号泣した思い出のキャラです。

細かいエピソードは異なるものの、マルティナにルナフレアを重ねてしまうが故、思い入れが強くなってしまうのかもしれません。

③アンダイン(UNDERTALE)

「UTDERTALE(アンダーテール)」は元々海外製のインディーズゲームです。
糸井重里さんが手がけた「MOTHER」シリーズを彷彿とさせる、懐かしいドット絵と自由な発想に富んだゲーム性が日本でも高い支持を得るようになり、主に若年層を中心に人気を集めています。

アンダーテールは妹が熱狂的なファンで、勧められてプレイしました。
が、戦闘システムが特殊で私には難しく、シナリオは実況動画で補完しました。
息子の方が何周もプレイしているくらいです。

物語の舞台はモンスターが暮らす「ちてい」。唯一の「ニンゲン」である主人公が地上に出るための方法を探す間、数々のモンスターと出会い仲良くなり、ときに戦います。

アンダインは序盤の中ボス的な存在として主人公の前に立ちはだかります。
国王直属の部隊「ロイヤルガード」の隊長を務める、甲冑姿の物々しいキャラ……というのが第一印象でした。
鉄仮面を外した姿は魚人。強面なのは画像の通りです。

ずっと男だと思っていたら、アンダインはなんと女性。
モンスターの会話をよく聞いてみると、きちんと「かのじょ」と言及されているのです。この顔で女性……。

しかし、アンダインはゲーム中でも屈指のかっこよさ、かつギャグ要素を持つキャラなのです。

彼女と仲良くなるには、特定の条件を満たした上で決闘を受け、殺さずに済ませる必要があります。

すると彼女の部下であるスケルトンのパピルスの仲介で、家を訪問するイベントが起こります。

彼女は主人公への殺意を残しつつも、トモダチになるため何故か料理教室を決行。
スパゲッティを作るためにトマトを豪快に潰したり、火力を強めすぎて家が燃えたり……。アグレッシブすぎます。

それでも彼女は平気な顔をして、歯をむき出しにして満面の笑みを見せてくれます。

反面、主人公が残虐の限りを尽くす「Gルート」で対峙する彼女はひたすらにかっこいい。

ゆうしゃが あらわれた。

こんな文言を背負って戦いを挑んでくる敵キャラがかつていただろうか……。

Gルートのアンダイン戦の曲名は「真のヒーローとの戦い」。
彼女の激情と散っていく儚さが共存した曲調は、元々作曲者でもある製作者のトビーさんならでは。
ピアノから始まるイントロを耳にするたび鳥肌が立ちます。

彼女を倒すと、家を訪問するイベントと同様の笑顔を見せます。
前述のイベントでは友愛から来る気持ちのいい表情でしたが、Gルートでは魂が砕け散る寸前まで、殺戮者の主人公を仲間の誰かが必ず倒してくれると信じる、確固たる意志を感じさせます。

トモダチになるとハジけた元不良のねーちゃんなくせに、敵対すると愚直なまでに己の信念を貫く勇者。
このギャップが心を掴んで離しません。

④シド(ファイナルファンタジー7)

国内RPGとしてドラゴンクエストと双璧をなす、ファイナルファンタジー(FF)シリーズ。
今年は最新作の16が発売となり、我が家もFF好きの夫のプレイを観ながらどっぷりハマりました。
私はFF4〜7、9が好きな古参ファンです。

FFシリーズには、必ず「シド」という名前のキャラクターが登場します。
飛空艇技師、学者、剣聖、果ては召喚獣の力を宿した「ドミナント」など、職業も年齢も多岐にわたります。

うち、最もヤンチャな江戸っ子気質の32歳が、FF7のシド・ハイウインドです。

彼は飛空艇のパイロットで、神羅カンパニー(主人公のクラウドたちと敵対する組織)の宇宙進出にも関わっておりロケットの整備を行っています。

FF7のシドは一言でいえば「少年の心を持ったおっちゃん」。
血気盛んですが飛空艇やロケットへの熱意と技術は他の追随を許しません。

戦闘では槍を扱ったダイナミックなアクションを見せ、終了時にはタバコを口にして一服。
シナリオの展開で一時期パーティのリーダーを務めることもあり、マップを走り回る姿は鳥山明先生のキャラのようにコミカルです。

やんちゃさと大人の男の気だるさ、お茶目な面が見え隠れする、見ていて飽きないキャラです。

来年はリメイク作品の続編が発売されます。
シドは12月頃発表された続報のPVでようやく登場しました。見た目は相変わらず渋くてかっこいいのに、エアリスに何かを申し出る口調はちょっとおちゃめで、やっぱり愛着があるキャラです。

⑤ランサー/クー・フーリン(Fateシリーズ)

二次元の最推しです。

Fateシリーズは、2004年にPC用として発売されたビジュアルノベルゲーム「Fate/stay night」を起点とした人気作です。
アニメや劇場版、コミカライズ・ノベライズ、そしてソーシャルゲームの「Fate/GrandOrder(FGO)」と、幅広い展開は詳しい方なら誰もが知るところでしょう。

作中では魔術師、あるいは魔術の素質がある「マスター」が、歴史上の偉人や伝説上の人物といった「英霊(サーヴァント)」を召喚、使役。
タッグを組んだマスターと英霊の総勢7組が、願望を叶える聖杯を懸けて「聖杯戦争」に挑むというのが大まかなあらすじです。
作品によっては7組以上が入り乱れることもあります。

英霊はそれぞれ、以下の7クラスが召喚される決まりになっています。

・セイバー(剣士)
・アーチャー(弓兵)
・ランサー(槍兵)
・ライダー(騎兵)
・キャスター(魔術師)
・アサシン(暗殺者)
・バーサーカー(狂戦士)

それぞれ「真名(しんめい)」と呼ばれる本来の名前があるのですが、正体を知られると伝承から戦法や奥の手である「宝具(ほうぐ)」がばれ、戦いにくくなるため、どの英霊も基本的には前述のクラス名で呼ばれます。

そのうち、槍使いの「ランサー」として序盤から敵として対峙するのが、アイルランド・ケルト神話の英雄であるクー・フーリンです。

性格は好戦的で、仕事のためであれば非情な選択も厭いません。
その分本来は戦いそのものを好み、いいように扱われ不自由な状態は望まない様子。
また裏切りを許さない一面もあり、作中の話の展開によっては主人公たちの味方になることもあります。
その際の頼もしさ、しがらみにとらわれないさっぱりとした気質から「兄貴」と男女問わず愛されているキャラです。
私もいつも兄貴と呼んでいます。

今でこそ最推しではありますが、最初にビジュアルを見た時の印象はひどいものでした。
全身青のスーツにイヤリング。正直ださい、というのが第一印象でした。
(イヤリングはスピンアウト作品で大切な意味を持つアイテムだと判明します)

しかし兄貴のキャラクター性にふれていくうちに、見た目など気にならなくなります。

男気にあふれ、重い過去を背負いながらも陰気さを全く感じさせない。
彼の何物にもとらわれない信条をよく表しているセリフがあります。

「昨日の親友が今日は敵側ってのはザラでな。敵味方はその日の気分次第なんでな、気持ちだけは真ん中においてあるんだ」
(中略)
ただ、と。
彼の場合、気に入ったモノが決まって、倒すべき側に回ってしまうのだとボヤいていた。

「Fate/hollow ataraxia」より引用

愛用の魔槍ゲイ・ボルク(伝承ではゲイ・ボルグと発音が濁るのが正しい)は彼の親しい者や愛する者を殺してしまう運命にあります。

ですが、つらい出来事を経験してきたから中庸の考え方になったのではなく、元からそういった心の持ちようの人物と見て取れるのが魅力のひとつです。

また、現代でいう「マインドフルネス」を常に体現しているのが彼の特長でもあります。
だらしない面もありますが、生前も、英霊として存在している間も「今、この瞬間」だけを考えて生きている。
二次元の存在ではあるものの、過去や先のことにとらわれがちだった私の意識を変えてくれた、尊敬するキャラです。

声優を務める神奈延年さんは名探偵コナンの人気キャラクター・松田陣平の声も担当しています。
現在は露出が少ない声優さんなのですが、兄貴も松田君もやんちゃさを残しつつ、酸いも甘いも経験したと感じさせる低めの声がたまらなくかっこいいのです。

クー・フーリン自体が知れば知るほど興味深い人物なので、彼のキャラ造形の元になったと思われる「炎の戦士クーフリン」も非常におすすめです。

以上、個人的に好きな槍使いのキャラを5人挙げました。

槍使いに共通して言えるのは、熱い魂を持ちながらもさっぱりしており、揺るぎない信念を持っているキャラが多いところです。

彼(彼女)らのそういった生き方に、私も憧れているのでしょう。


※ヘッダー画像はみんなのフォトギャラリーからお借りしました。ありがとうございます。

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