映画レビュー(50)「ゴジラ-1.0/C」

今回はモノクロ版「ゴジラ-1/C」である。
作品自体は二回目で、そのあたりの気づきのメモでもある。

ゴジラとの戦いとは

 主人公・敷島は、ゴジラとの戦いで、自分の戦争を終わらせることができた。が、実はこれは敗戦を機にして再生する日本という国そのもののことだと気づかされた。彼は日本と日本人の暗喩なのだ。だから主人公の名前は「敷島」なのだ。
 お国のために死ぬための零戦と、家族たちの明日を生きるために乗る震電の対比。また戦争帰りの彼らの表情や服装などが、モノクロのおかげで、人々の心や、街なみに残る戦争の傷跡が実にリアルに伝わってきた。

モノクロームの効果

 色情報が消えたことで、人間ドラマがクローズアップされた感を受けた。いつもテレビで観てる彼らではなく、戦後の映画に出ていた役者たちを観てる感じになるのだ。
 これは実に面白い印象だった。ぜひ一度、モノクロ版で再見されることをお勧めする。
 またモノクロになったせいで、音楽が胸にしみるようになった。特にクライマックスで流れる伊福部マーチ、恐怖で圧倒するようだった音楽から、立ち上がり面を上げて前へ進む気持ちを込めてここに配したのであろう。
 これも注目ポイントだった。
 色情報を排することで、クローズアップされるものがある。一番大きな気づきがこれだった。

この記事が参加している募集

#映画感想文

67,412件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?