映画レビュー(86)「ドラキュラ デメテル号最期の航海」

ある意味、創作者には勉強になるよ

 ルーマニアのカルパチア地方からロンドンまで、謎めいた50個の無記名の木箱を運ぶためチャーターされたデメテル号。不可解な出来事に遭遇する。見渡す限りの大海原で、毎夜人間の生き血を求め襲い来る吸血鬼が出現したのだ。パニックに陥りながらも、生き残りをかけた壮絶な戦いに臨む乗組員たち。ストーカーの原作「吸血鬼ドラキュラ」の、第7章「デメテル号船長の航海日誌」の映画化。
 そうか、手あかのついた古典的吸血鬼モノに、まだこんな手があったのかと思ったが、あれに似てるなと思いながら見続けた。
 貨物船に潜んだ怪物と闘う乗組員が、最後は船を犠牲にして怪物を倒そうとする。
 そう、あれとは「エイリアン」(1979年リドリー・スコット)のノストロモ号のことである。バレにくいようにリプリーの役割のキャラは黒人の男性で医師になってるけど、物語の構図は同じである。
 旧来の手あかのついた物語に、たった一つ新機軸を加えると別物になるという好例だった。
「○○みたいな作品を書きたい」というときに、どうすれば別の作品にできるかを教えてくれる。作家志望の方は勉強になるかもね。

ドラキュラ デメテル号最期の航海


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