映画レビュー(14)「箪笥」 監督キム・ジウン
(2004年 09月 20日 「読書記録゛(どくしょきろぐ)」掲載)
「箪笥」 監督キム・ジウン
父に連れられ、ソウル郊外の家に帰ってきたスミとスヨンの姉妹。
2人を迎える若く美しい継母のウンジュ。
姉のスミは異様なまでに妹スヨンを気遣い、ウンジュへの不信を顕わに。
その日から、家の中で奇妙な現象が起こり始める。
姉妹を襲う悪夢、ウンジュの視界に映る不気味な影。
不安から、継母と姉妹の関係はさらにこじれていく。
恐怖が限界に達した時、スヨンの部屋の箪笥の中で、隠された家族の秘密が明らかになる。
というのがあらすじ。
スミは何らかの心の病を持っている。ウンジュもまた同様らしい。というところが伏線ね。
しかし、すぐれたホラーですよこれは。すごく俺好み。
映像がまた綺麗なんだ。
主人公の姉妹がまた綺麗でうまいんだな。すっかりファンだ。
モンスター出てきません。殺人も起きません。
でも怖い。
すごく怖い。人の心の抱える、憎しみとか怒りとか悲しみが怖い。
心が怖い。
ネタばれしないようにすると、賛辞の羅列になってしまう。
貞子もいいでしょう、伽耶子もいいとしましょう。
でも本当に俺が見たかったホラーはこっちなんだよな、日本映画界の関係者の皆様方よ。
こういうホラーを作ってくれよ日本でも。
ということで、ひるがえって邦画関係者には本当にホラーをわかっている人間はいないのではないかと感じたしだい。
DVDが出たら、まちがいなく買い。
ホラーに関してなかなか誉めない俺が、手放しでここまで誉めるなんて、やるなキム・ジウン。
※スピルバーグがリメイク権を買ったそうだが、すごく心配だ。まあ、「激突」を撮れたんだから大丈夫とは思うが(心配)
箪笥A TALE OF TWO SISTERS
追記(2023/07/14)
20年近く経過して、このような心理ホラー作品はすっかり一般的になった。しかし、この記事を書いた2004年当時のホラー映画はお寒いものが多かったのだった。
肝心のリメイクはハリウッド映画「ゲスト」として結実している。
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