映画レビュー(112)「友情にSOS」(2022)

Amazonオリジナル作品

これはよくできた物語。
アメリカ社会に根深く残る人種差別が背景になっている。思わぬトラブルに巻き込まれた大学生3人組の運命を描いたコメディスリラーである。
ルームシェアしながら同じ大学に通う黒人青年クンレとショーンは、一晩で7つのパーティをハシゴする計画を立てていた。しかしパーティへ繰り出そうとした矢先、自宅の前を通りかかった彼らは玄関のドアが開いていることに気づき、中に入ってみると見知らぬ白人の女の子が意識を失って倒れていた。もう1人の同居人であるラテン系の青年カルロスも加わり、対処方法を巡って言い争う3人だったが……。
優等生のクンレと不良のショーン、そしてゲームオタクのカルロス。警察を呼ぼうとするクンレに対して前科があるショーンはごまかして裏をかこうとする。この二人の対立が笑いを誘うのだが、徐々に笑い話では済まなくなる。
背景にあるのは人種差別とBLMなのだが、単に白人側を糾弾するだけでなく、少数の反社会的黒人のために普通の黒人層まで誤解を受けている現状まで描いているところは、単純に黒白をつけるような幼稚さとは無縁で好感を持った。
対立する二人と、真ん中にいるカルロス。一晩の事件が、三人の友情の危機と、その回復の物語にもなっている。こんな作品を作って、すんなりと配信するAmazon、侮れんなあ。
友情にSOS


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