ブックガイド(66)趣都の誕生―萌える都市アキハバラ (幻冬舎文庫) (文庫)

(2009年 04月 09日 「読書記録゛(どくしょきろぐ)」掲載)

趣都の誕生―萌える都市アキハバラ (幻冬舎文庫) (文庫)
森川 嘉一郎 (著)

なぜ秋葉原はオタクの聖地へと変貌したのか。
なぜパソコンマニアは、アニメ絵の美少女を好んだのか。
なぜ“趣味”が都市を変える力を持ったのか。
文庫になったの待ちかねて購入した一冊である。
特に今回は2003年の発表以後に急変した秋葉原のその後を追った一章が加えられていて興味深い。
秋葉原を定点観察することで、その変遷を多角的に検証している。秋葉原デパートのフロアの店が、どのようにオタク化していったかの検証など興味津々だ。
80年代のSFシーンを激変させたギブソンの「ニューロマンサー」は日本の千葉市が舞台となった。その千葉から一直線に到達するサイバーなスポットが「アキハバラ」だ。
日本人だけでなく外国人までも魅了する魔窟のような町、確かにドラマの舞台にはうってつけで、劇場型犯罪などが起きるのも何となくうなずけるのだ。

ちなみに、息子の中学校の修学旅行は「東京・日光」が行き先だったのだが、学校側からの指導で、秋葉原は「行ってはいけない場所」になっていたそうである(苦笑)。

趣都の誕生―萌える都市アキハバラ (幻冬舎文庫)

ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)


(2023/11/12 追記)
私のアキハバラ時代

実は私は、大卒の新卒時代に工業系商社の営業マンとして。秋葉原駅にほど近い場所で寮生活をしていた。二年強の東京生活だったのだが、地方出身の貧しい独身者のため、遊びに行く先は、上野・浅草・錦糸町・新宿などが主な場所で孤独だった。当時の秋葉原は電気街であり、家電の他にも電子工作のキットやパーツなど、胸躍る場所であった。当時の雰囲気は映画「ゼイラム」の冒頭シーンでうかがえる。
お茶の水、飯田橋界隈は、初めて書いた小説を投稿したときに、双〇社の編集の方から連絡をいただいて出かけたのが初めてだった。
「次号でハードボイルド特集やる予定だけど、君の書いた作品読んで、若いのに熱烈なハードボイルドファンとお見受けする。いろいろ意見聞かせてほしい」ということで、ヒアリングのために呼ばれたのだった(苦笑)
私の作品に関しては「読めるけど、新鮮さはないね」とばっさり。
翌年、その社の新人賞に新たな作品を送ったが、一次予選通過どまりだった。そんな時代を過ごしたアキハバラは、自分にとっても大事な場所なのだった。

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