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『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』を読んで学んだこと


先日『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』を読みました。


経済の本はあまり読んだことがなかったのですが、本書は帯にもあるように大変面白く読みやすかったです。

著者のヤニス・バルファキスさんはヨーロッパ各地の大学で経済学教授を務めたのち、2015年にギリシャの財務大臣を務めています。

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財務大臣とは思えない革ジャンとスキンヘッドが話題を呼んだそうです。

表紙の写真もバルファキスさんの写真です。

自ら経済学者でありながら、経済学者は星占い師と同じと言ったりとても面白い発言をされています。

本書は、彼が10代半ばの娘に語りかけるように、経済について、分かりやすい表現を使って説明しています。

SF映画や『フォースタス博士の悲劇』(ゲーテのファウストの元ネタ)を引き合いに出すなど、誰にでも理解できるような解説がされています。

少し長いですが、一部気に入った箇所を抜粋します。

君もそのうち大人になって、好景気も不景気も経験することになるだろう。そして、この社会の驚くべき欺瞞に気づくはずだ。景気のいいときには、銀行家も起業家も、金持ちは総じて政府に反抗的だ。政府を「進歩の足かせ」と批判し、国民に税金をたかる「寄生虫」と呼び、「自由と起業家精神の敵」だと罵る。知識層の中には、さらに厳しく政府を批判し、政府には社会に奉仕する資格などなく、そもそも「社会などというものは存在せず、個人と家族がいるだけ」で、「社会の定義は定かでないから、国家は社会に奉仕できるはずがない」などと言う人もいる。しかし、自分たちのせいで金融危機が起きると、それまで舌鋒鋭く国家の経済への介入を批判してきた人たちが、いきなり国家に頼ろうとする。今度は「困ったときに政府はどこにいる?」と文句を言いはじめる。


2008年の金融危機から、貨幣の誕生まで話は多岐に渡っているので、経済の入門の一冊として最適ですし、学校教育では賄えない範囲まで学ぶことができます。

借金の誕生の話などは、大人でも知らない人の方が多いと思うので大変勉強になりました。

また、機械の奴隷に人間がならないかという話もこれからの時代へ示唆の富んだ考察になっています。

つくづく思ったのは、世界中に今もなお残っている大抵の紛争はイギリスかフランスが原因という話は本当ですね。勝手な人たちですよね。


本書を読むと、日々社会で働いていると、市場社会に浸かってしまい、その考え方を刷り込まれているとよく分かります。

本書の終盤では、人間と地球について、語られていますが、自分が金持ちの側に回ってしまったときには、次の世代にとってマイナスのことしかできなくなってしまうんじゃないか、とおそろしくなりますね。まあ、杞憂でしょうが...

金持ちっていうのは、交換価値を高めていった結果なので、やはり地球にとってはマイナスの存在ですよね。

SDGsの13番〜17番をしっかり意識に刷り込んで行動することが大切でしょうか。

人間が自然に歩み寄ろうとすると、傷つけてしまうのも悩みどころですね。遊歩道を作ってみたり、車でキャンプに行ってみたり。意識づけが大切ということで。


本書は、子どもたちに経済について、教えるのに非常に適していると思います。

できれば、紙媒体の書籍で入手して一緒に読むと良いのでしょうね。


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