小説【再会】 告白#3

ラブの相談を受けて、決めた。
亀さんと話そう。
聞きたいことがいっぱいある。
おせっかいかもしれない。
でも、「待ってろ」と言った手前気になって仕方ない。

「もしもし?亀さんっすか?健太です。」
「おお、健太か。明けましておめでとう。」
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」
「どうした?デスクにいきなり電話してきて。」
「あの~、ちょっと相談したいというかお話ししたいというか・・・。」
「なんだ。なんか話しにくそうだな。」
「ええ、まぁ・・・・。」
「まぁ、いいよ。今夜でいいか?ちょうど用事もないし。」
「え、はい。判りました。それじゃあの居酒屋でいいっすか?」
「お、いいよ。先に行って飲んでろよ。」

どこからどう話そうか・・・・・?
知っているだけにちょっとドキドキしていた。

「お、健太。改めて・・・明けまして、おめでとう。」
「あ。あけましておめでとうございます。」
あとから仕事を終えた亀さんと店で合流した。

「そんで、なんだよ。話って。あー。すいません。生2つくださーい。」
「あの・・・・離婚したって聞いたんで・・・・。」
「なんだ・・・・そのことかよ。話はぇな。で、誰から聞いた?」
「いや、その・・・・ラブからです・・・。」
「ラブ?あいつに話してねーけど。ま、知ってるか。それで?」
「それでっていうか・・・・、どうして・・・・。」
「いやまぁ、それはお前。結婚したら夫婦にしかわからんことがあるんだよ。」
「はぁ・・・・。お子さんはどうされたんですか?」
「ああ、それは向こうが引き取ったよ。今じゃ慰謝料払うだけよ。俺は・・。」
「そうなんですか・・・・。寂しいっすね・・・・。」
「お前がそんな顔すんなよ。一番、寂しいのは俺だよ。」

「離婚って大変だぞ-。結婚する3倍は労力がいる。うん。」
「そんなもんですか?でも、夫婦にしか・・・って浮気じゃないんでしょ?」
「そんなのするかよ。そんな暇、ねーって(笑)」
「まぁ、そうですよね。」
「だろ?今日はお前が復職してくれるのかと思って楽しみにしてたんだぞ。」
「いやいやいや・・・・。来年から学校通うんで。」
「学校?」
「調理師学校です。」
「そうかー。いよいよ実家の店を継ぐ気になったのか。」
「はい。そろそろ・・・。親も年取るし。」
「ま、いいこと・・・なのかな。頑張れよ。」

「彼女は?出来たのか?」
「はい。最近。可愛いんですよねぇ~。」
「バカだな。お前は(笑)嫌がらせか。」
「すいません・・・・。亀さん再婚は?さすがにまだですね・・。ははは・・。」

「ラブか。」

今日のメイン中のメインの話を言い当てられて
どきっとした。

「あのな、ラブには悪い気持ちは無いぞ。前から違う目線も感じてたしあいつは良い奴だ。」
「はい。」
思わず下を向いてしまう。

「好きな人間を見たらそりゃーわかるだろ。」
「はい。そうですね。」
「前から知ってたよ。おれは。」
「え・・・・そうなんですか?前から?」
「そう。前から。」

ばればれだ・・・・・。どうしよう。
あ、いいことなのか。いや?どうなんだろうか。

「離婚とラブの話は別物だぞ。いいか。判るよな。」
「はい。判ります。」
「前からカミサン・・・元カミサンか(苦笑)あれとはすれ違いが多くてね。冷え切ってたんだよ。
俺らの商売は土日ねーだろ?」
「そうですよね。」
「子供の事とか色々な・・・・。」

「で、ラブのことなんですけど・・・・。」
「ラブに言うなって言っても今日の事、言うだろ?(笑)」
「まぁ、はい・・・・。」
「そうしたらな。お前には言っておく。それをラブに言うかどうかはお前次第。
任せるから。いいな。」
「はい。」
「ラブに悪い気はしてない。俺がその気持ちになったら必ず迎えに行くから。そのつもりだ。」
「・・・・ありがとうございます。ありがとうございます。」
「お前が泣いてどうするんだよ(笑)お前には言っておくからな。」
「はい。はい。はい。ありがとうございます。飲みましょう~!!!」
「飲んでるよ。ばか(笑)」

こうして飲み屋で嬉しいやらなんやらで飲み過ぎた。
でも、気分はすっきりした。

「良かった・・・・。良かったよぉ。嬉しいな。」
「どうしたの?健ちゃん。にこにこして。はい。二日酔い防止のお薬。」
「ありがとう。だってな、同期が悩んでた恋が発展しそうなんだよ~。心配してたからさ~。」
「そうなんだ~。それは良かったねぇ。」
「うぐうぐ。ふぉう。ふぉうなのよ。」
「喋るか、薬飲むかどっちかにしなさい(笑)」
「ふぁい。」
「で、お話ししたの?同期の方とは。」
「うん?まだ。」
「電話しなくてもいいの?待ってないの?」
「あ、そうだよね。電話、借りるよ。いい?」
「いいよ。」

「夜分にすいません・・・。愛子さんですか?」
「はい・・。はい・・・・。そうですけど・・・・。」
「夜遅くごめんな。健太だけど。」
「え!健太!!どうしたのよ!!」
寝てたところで、飛び起きたようだ。

「一回しか言わないぞ。それと心の準備。」
「ええ~、何~!!何~!!」

「亀さんがな・・・。」
「亀さんが・・・・。はい。」
ごくっと喉が鳴る音が聞こえてくる。

「今はその気にならないけど、タイミングが来たら
ちゃんと俺から迎えに行きます・・・・って。」
「・・・・・マジ?マジなの?健ちゃん!!!!」
「大声出すなよ。マジだよ。」
「だって~!だって~!!!だってぇ~!!!!!」

「だってね・・・・・・・。嬉しい・・・・・・し、健ちゃんになんて言って良いか・・・。」
「いや、別にいいよ。同期じゃん?友達じゃん?」
「そうだよね・・・。ありがとう。ありがとう・・・・・(泣)」
「それだけだから。おやすみ。」
「ほんとありがとう。明日から頑張れる~!!」
「顔洗って早く寝な。明日、顔が二倍になるぞ(笑)」
「うるさい(笑)ほんとありがとう。おやすみ。」

後々、聞くのだがこの日の晩は嬉しくて
一睡も出来なかったらしい。
それもあいつらしい・・・か(笑)

「ありがと。電話。」
「ん?いいよー。」
雑誌を見ていた詩織が振り向いた。

「それで、なんだって?喜んでくれたのかな?」
「うん。喜んでたよ。すっきり眠れるんじゃない?」
「女心、判ってないな~。眠れないよ。今夜は。」
「そういうもん?」
「そういうもんです。」

結果的には当たっていた。
女心はやっぱり女にしか判らないのか。

「じゃ、今何考えてるか当ててみて~?」
「俺のこと(笑)」
「・・・・当たり~(笑)」
「俺も~(笑)」
「バカップル?(笑)」
「うん。バカップル(笑)」

他人には聞かれたくない(笑)


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